昭和20年創業の駄菓子問屋『吉田屋』は、2020年で70年を迎えます。
創業時は『吉田玩具』としてメンコやビー玉、縄跳びなどの販売。
当時は大阪の松屋町まで商品の買い付けに行っていたそうです。
時代的に小売店にも元気があり、そのなかで花火や駄菓子の需要もどんどん増えていった吉田屋さん。
今回は三代目の吉田所長に、問屋という目線から駄菓子業界の貴重なお話をお伺いしました。
今も昔も駄菓子屋は「子どもに夢を届ける場所」
駄菓子屋は「子どもの遊び場」という吉田屋さん。
少子高齢化などで業界全体が小さくなっていく中で、子どもとの接し方はとても大切なことだと言います。
昔は親子で駄菓子屋に来ても親が支払いをしようとすると「子どもにお金を持たせなさい」と言う駄菓子屋の店主さんもいたそうです。
それぐらい駄菓子屋は子どもたちにとって社会性を磨く場所だったんですね。
時代の移り変わりの中で駄菓子屋に求められるものも変化
吉田屋さんでは個人のお客さんにも駄菓子、そして花火や玩具も販売しています。
午前中の早い時間におうかがいしたのですが、いつのまにか店内は大盛況。
お話を聞かせていただいている間に、たくさんの方がご来店されていました。
最近はお客さんの流れが少し変わってきたそうで、NPO法人や介護施設からのお問い合わせも増えていると言います。
その点で求められる駄菓子の難しさがあるのだとか。
たとえば同じ「ふ菓子」でも世代によって食べていた商品が違うため、品揃えを豊富に取り揃えておくことは問屋としては大切なことのようです。
「昔は駅前の商店街の中に駄菓子屋やおもちゃ屋が必ずあったものですが、今はもうありません。
そうした時代背景もあり私どもで扱っている商品、たとえば花火などは、個人で楽しまれるお客さん、それから自治体や町内会、保育園・幼稚園などが販売先になってきています。
また鳥獣駆除にロケット花火の売り上げも伸びています。
また駄菓子の納品については、ほぼ関西一円。ホームページからご注文いただくお客様もいらっしゃるので北海道から沖縄まで発送も行っています。」
駄菓子に必要なのは「値段」ではなく「ワクワク感」
駄菓子に求められるものは「ワクワク感」ではないかと吉田屋さんはおっしゃいます。
駄菓子や駄菓子屋を知らない世代が増えてきているため「懐かしくて買う」ということはこれからますます少なくなっていくけれど、駄菓子を新しいものとして
「こんなお菓子があるんや」
「こんな場所があるんや」
というワクワク感は変わらないは変わらないと言います。
また同時に、消費増税、原材料高騰、少子高齢化など時代が移り変わる中で「駄菓子は安いもの」という風潮自体が駄菓子メーカーや小売店をしんどくしていっているのではないかとも。
「たとえば100円買うお客さんが100人来られると10000円ですけれど、100人ってとても大変ですよね。またお客さんがたくさん来られる小売店さんでも、その中から得られる利益はわずかなものです。そうした現状を鑑みて私ども問屋としては『売れる値段で売るべきですよ』というお話はしています」
実は駄菓子の中には30円から50円など、値段をあげているにもかかわらず売り上げが伸びている商品もたくさんあると言います。
そう考えると現実的な値段だけで喜ばれるのが駄菓子ではない。あくまで商品がもつ「値ごろ感」。
それこそが駄菓子のワクワク感なのではないかと。
「喜ばれる提供の方法」を駄菓子業界全体で考える時期
吉田屋さんは「10円20円にしばられず、めずらしいもの、よそでは手に入らないものをお店に置くことも、駄菓子屋にとっては大切なこと」ということをおっしゃっていました。
確かにそうかもしれませんね。
コンビニでもスーパーでも駄菓子が買える今、駄菓子屋に来てもらうためには「そこにしかないワクワク感」が大切なのだと思います。
吉田所長をはじめスタッフのみなさん、お忙しいところ有り難うございました。
これからも「お子様に夢を届ける。」をモットーに頑張ってください。
応援しています!
【基本情報】 平安企業組合 吉田屋 *住所:京都府京都市西京区御陵溝浦町20−5 *営業時間:9:00~18:00 *定休日:日曜日 *ホームページ:http://www.yoshidaya.info |
駄菓子と駄菓子業界への深いお考えに感銘を受けるわ。
より多くの人がもっと駄菓子にワクワクするようになると嬉しい!
貝田孝一
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