路面電車が残るレトロな町の駄菓子屋さん「フルーレ伊賀屋」〜大阪市・天下茶屋〜

大阪府

大阪の西成というと「日本一のドヤ街」というイメージをお持ちの人もいるでしょう。

しかし、いわゆる日雇い労働者が多い地域は一部のみ。

区の東の天下茶屋(てんがちゃや)地区は昔ながらのレトロな雰囲気。

今回訪問した「フルーレ伊賀屋」さんもそんな人情味あふれる町で頑張る駄菓子屋さんです。

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軒下からはみ出るオモチャがお出迎え

壁にかけられたおもちゃ
入り口をはいってすぐ。すぐに童心に帰れるようなオモチャがたくさん

駅から続く小さな商店街を抜けると、オレンジのテントと溢れんばかりのオモチャたち。

貝田さん
貝田

こちらは駄菓子屋さん・・・ですよね

思わず聞いてしまいました。

奥から出てきたご主人が「うん、まあ、なんでもしとるんよ」とハニカミながら教えてくれました。

店内に置かれた商品
壁にいっぱいのおもちゃ。この写真だけ見るとおもちゃ屋のようですが、駄菓子も豊富です。
綺麗に並べられた駄菓子
イカ系駄菓子の定番「よっちゃんイカ」と最近話題になった「タラタラしてんじゃね〜よ」。

このあたりで個人経営の駄菓子屋さんはこちら一件だけらしく、めずらしいのか中国からの観光客が断りもなしに、写真を撮ったり、商品を触り倒したりするそうです。

貝田さん
貝田

こんなところまで、中国人観光客が来てるんですか

ご主人「民泊。このへんの民泊に泊まる旅行者はお金もないから、買いもせんのにガチャガチャ商品触ってな。まあ文化の違いやろなあ」

苦笑いしながらお話ししてくださいましたが、お困りになっているのは明らか。

せめてこの記事を読んだ人は、節度ある見学・お買い物をお願いしますね。

亡くなったお父さんの後を継ぎ、今は奥さんと二人でお店を切り盛り

道を歩く人と遊び道具

お店をはじめられたのはご主人のお父さん。

お父さんは早くに亡くなられてしまったそうで、学生だったご主人は進学・就職をあきらめお店を継ぐことになったのだとか。

容器に入ったキャンディ
駄菓子屋の飴といえば「ひも飴」。よく見ると紐を引きやすいように容器を改良していますね。
貝田さん
貝田

このあたりは住宅地ですし、お客さんは地元の家族連れや子どもさんたちが多いですか?

ご主人「このへんは子どもが少ないんよ。だから、みんな遠くから自転車に乗って買いにきよる。阿倍野や住吉や岸里からもくるよ」

阿倍野・住吉・岸里というエリアは、フルーレ伊賀屋さんがある天下茶屋からは電車で1駅、2駅ほどの距離。

インターネットで調べるのか、子どもたちが遠足のお菓子を買いに来るんだそうです。

今も昔も遠足のおやつといえば駄菓子屋です。

わざわざ自転車で買いに来るということは、よっぽどここのお店と駄菓子が気に入ってるんでしょうね。

プラスチックの入れ物に入ったお菓子
筆者の大好きな猫瓶系の駄菓子たち。左端の「網焼きするめ」の高級感が光っています。

路面電車を撮りにきた大人が懐かしがる駄菓子の魅力

線路を歩く男性
路面電車は札幌・広島だけではありません。大阪にもあるんです。

運動会やイベントがあると学校から「詰め合わせ菓子」の注文があるのだとか。

貝田さん
貝田

学校や生徒さんから人気のお菓子があったりするんですか

ご主人「駄菓子自体がめずらしいから、なんでも喜んでくれるよ。せやから毎回どれにしよかな、ってこっちで考えてね。大変やけど」

また、お店から徒歩数分に路面電車の駅があり「撮り鉄」と呼ばれる写真を撮る鉄道マニアのお客さんも懐かしがって駄菓子を買っていくそうです。

駅のホームとベンチ
電車の中で精算をするため改札はありません。駅というよりバスの停留所に近い感じ。
線路を眺める男性
向かいのホームには駅中のカフェのような感覚でしょうか純喫茶「コーヒールンバ」。

ご主人「昔は商店街からうちまで4〜5軒は駄菓子屋・洋菓子屋があったんやで。あの頃はほんまによう働いた。朝7時から夜中の12時まで。
このへんは難波のほうで水商売してる人らが住んでたから、うちらも最終電車が終わるまでは閉められへんのよな」

今は駅前の商店街の菓子屋はフルーレ伊賀屋さん一軒だけ。

シャッターを下ろしているお店も多く、また周辺も古い戸建ての家がある以外は若い世代が住んでいるようなアパートはありません。

それでも土日は近所のお年寄りがお菓子を買いに来たり、世間話をしに来たりと昔とは違った楽しみもあるそうです。

綺麗に並べられたお煎餅
店先にはお年寄りが好みそうなお菓子も
正面を見る猫
帰りに見かけた逃げも隠れもしないノラ猫。寒くなってきたこの時期日差しは貴重です。

体が元気なうちは続けていきたい

「大変やから閉めたいとは思ってるけど、年金だけでは食べていけんもん」

大阪ならではの自虐ネタで笑わせてくれたご主人。

客の立場の僕たちはいつまでもお元気で続けてほしいと思うけど、体力や後継ぎ、駄菓子業界の衰退など、なかなかそうもいかない現状も。

それでも最後は「また近くに来たら寄ってや」と子どもたちの遠足のお菓子と同じく、駄菓子の袋をモールでしばってくれました。

天下茶屋に来たときはまた覗いてみようと思います。

フルーレ伊賀屋さん、ありがとうございました!

袋詰めされたお菓子と赤いカゴ
【基本情報】
フルーレ伊賀屋
*住所:大阪市西成区天下茶屋2-5-17
*営業時間:9:00〜18:00
*定休日:火・金
*連絡先:06-6661-4626

お店も街も温かいのね。

色んなお客さんが足を運ぶのも分かるわ!

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貝田孝一

貝田孝一

小説執筆とライターの二足のわらじを履き潰す生粋のナニワっ子。 70~80年代のサブカルチャーと銭湯が三度の飯の次に好き。 チャリンコで近所を駆けずり回り、面白いネタを探すのに疲れて立ち飲み屋で一杯やってるときがいちばん幸せ。
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