横浜の駄菓子屋・米屋菓子舗による68年の歩み

神奈川県

横浜の駄菓子屋・米屋菓子舗~ズドンと染みるたい焼きの味~

寒くなったら行ってみたいと、密かにチェックしていた駄菓子屋さんに行ってきました。

商店街の入り口

横浜三大商店街のひとつ大口商店街を抜けた先に見える鮮やかなオレンジ色。

パタパタはためく「たい焼」の文字。

たいやきの絵や文字があるお店の前

昭和25年創業、曙商店街にたたずむ今年で68年目の老舗駄菓子屋・米屋菓子舗。

袋詰めされて並べられた駄菓子の数々

卵ボーロと買い物をする女性

プラスチックの箱に入れられた串のお菓子

オロナミンCが入った古びたガラスのケース

お母様の代からこの駄菓子屋さんを支えてきた、今年で86歳になるという店主の掛作さん。

お店の中で笑顔を見せる男性

今は娘さんと協力してこちらの駄菓子屋さんを切り盛りされているとのこと。

クリアケースに入れられた数々の駄菓子

ずらりと並ぶ立派な駄菓子用ガラスケースは、お店のつくりにカチっとはまる特注品。
(前がちょっとカーブになってる)

数字が書かれたお菓子の入るガラスケース

お菓子が詰められてる大きめのガラスケース

ショーケースの中の見たことのない駄菓子に興奮する筆者に、
一つひとつ仕入先からなにから丁寧に説明してくださるご主人・掛作さん。

次々とケースを開けて、

「食べてみな」

とひとつ手に乗せてくれる。

中でも印象的だったのが

紙に説明と値段が書かれたお菓子

袋に入ったピンクの飴

こちらウイスキーボンボン。飴を砕くと中からウイスキーが…!

チョコの中にお酒が入っているものはよくあるけど、飴の中に入ってるのって不思議な感じ。

ぱりんと割れた飴の中からダイレクトにウイスキーが溢れ出る大人の駄菓子。

箱に入れられた小さくてカラフルなお菓子

この小梅ゼリーも小梅ちゃんのぐみバージョンて感じで美味しかった。

そしてこのかりんとう!

ケースの中に入った沢山のかりんとう

私の父はこちらの駄菓子屋さんの創業と同じ、昭和25年生まれなのですが
このかりんとうが大好物。

写真に写っているのはちょっと細めだけど、

もっとゴッツイ炭みたいなやつがあって、
私はいつもそれを「お父さんの好きな炭みたいなやつ」と呼んでいました。

ご主人が言うには

昔は太いのも置いてたんだけど、今はその世代がだんだん年配になってきたため、ワンサイズ小さいものを仕入れるようになった、とのこと。

「年寄りは、歯が弱いからなあ…!」

ふうむ、なるほど。

そうすると、平成を代表するお菓子である「じゃがりこ」なんかもそのうち古株になって、
好んで食べるのは平成生まれのおじいちゃんおばあちゃんだけ、

そんでもってそのままの太さ&硬さだと歯が欠けちゃうもんだから、
なんかもうそのうち短いプリッツみたいな姿になるのやもしれぬ。

え。でもそれってもはや「じゃがりこ」が「じゃがりこ」であるところの本来の意味を見失っていないかな????

やっぱり、どれだけ時代が進んで、ほっぺたのおちるような美味しいお菓子が出回るようになったとしても、

ふとした時に食べたくなるのは、子どもの頃馴染んだ駄菓子なのかもしれません。

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駄菓子屋・米屋菓子舗が68年の歳月を経て

お店の名前が書かれた大きな看板

70年近くやっていると、お客様も4世代にわたるそうで (しゅごい_(┐「ε:_)

「男の子はわかるけど、女の子はわからなくなる。
みんな化粧するようになるから。だから『おじさん忘れちゃったのー?』なんてこともよくある。
男の子はだーいたいおんなじ顔してるよ、大きくなっても。」

と、笑うご主人。

娘さんとふたり、こちらの駄菓子屋さんの成り立ちや、その時々でどんなことがあったのか、たくさんお話してくれるのですが、
そのたびに、ちょいちょい年代認識のズレがあったりするのもまた面白く、

お父さんが

「5〜6年前かなあ」

なんて言えば

「いや、もっと前でしょ!私が生まれる前だからあれは…」

なんてやりとりが繰り広げられる。

まあまあまあ!68年ですからね!なにせ!

でもきっと、すべてを昨日のことのように憶えているってことでしょう。

古き良き日本の街並み

戦後復興間も無い、このあたりがまだ田んぼだった頃から、

二宮金次郎のようなしょいカゴを背負ってアメ横まで仕入れに行っていたというご主人。

御年85になった今でも、仕入れは基本すべて自分の足でこなし、月に数回近くの保育園にお菓子や駄菓子の配達にも行くというバリバリの現役ぶり。

お店にいても、座っているということがない。足腰しっかり姿勢よく喋りも健在。

ずいぶんお元気で、いやむしろお元気ですねということ自体が失礼なんじゃないかと憚られるほどに、かろやか、くるくると立ち働く。

横浜の駄菓子屋・米屋菓子舗が持つたい焼き屋さんの顔

たいやきが目立つお店の佇まい

序盤からうずうず気になっていました、そう、たい焼き…!

たいやきのイラストとセリフが描かれた壁

特にこの季節はね、吸い寄せられるよね、どうしても。

実はこの駄菓子屋さん、お店の一角が

冬はたい焼き屋、夏はかき氷屋さん

になる。

オレンジの壁に覆われるお店の外観

平成5年頃より始めて、かれこれ25年。

たい焼きをつくる工程を見学させてもらいました。

たいやきの皮とあんこを作る様子

たい型の型に生地を流し込み、あんこを入れて、すこし待つ。

生地にぷつぷつができていたらガコンと挟んで更に焼く。

たいやきを作るエプロンをした男性

「わあ!やっぱり型は『たい型』なんですね!わーーーかわいい!わーーーあんこ!

ふわああああ〜〜た・い・焼・き・だ〜〜〜〜〜〜★」

たいやきが完成する様子

アタマの悪い感想をきゃーきゃー呟きながら、作業工程を見守っているとあっという間に完成。

なんだろう、まさか海を泳いでくるとは思っていなかったものの(およげ!たい焼きくんばりに)、

でもなんだか、生地からこうして

「ハイたい焼きいっちょあがり!」

という現場を目にすると感慨深いものがありますナ。

てかふつうにこの鉄板にちょんちょんちょんと並んでいる姿可愛くない????????え?

かわいくない???

スタンダードな具は王道のアンコだけれど、あんこが苦手って人には「生地だけたい焼き」も焼いてくれる

店頭に出ているチョコを買って自分仕様に中身をカスタマイズして焼いてもらうこともできるんですって。

すごいでしょう。

「ハムでもチーズでも、持って来ればなんでも入れて焼いてやるよ!」

とご主人。

たいやきをすばやい手つきで作る男性の様子

いったいここは何屋さんなのか?!?

しかしまあ、余談ですがご主人の渋くてかっこいいことネ。

たい焼きを焼く手つきもあざやかでキマってる。若い頃、さぞや色男だったに違いない。

ほれぼれ。やっぱり男の人はたい焼きくらい焼けなくっちゃ。朗らかながら凛々しく品のよい佇まいに、お店に出る時は必ずするというヒヨコ色のエプロン姿がまたチャーミングでよい。

横浜の駄菓子屋・米屋菓子舗のご主人による心遣い

微笑む眼鏡をかけた男性

うっとりほれぼれとたい焼き(&ご主人)に見とれている傍、

雨模様にも関わらず次々と駄菓子屋さんを訪れるお客様。

 

「おじちゃんたい焼きふたつ〜〜」

「おやじさんこの前新聞載ってましたねえ!元気してますかあ〜?」

 

さて、お店も賑わってきたところで、そろそろ私もおいとまするといたしましょう。

例のごとく、長居してしまったお詫びとお礼を伝え、

焼きたてのたい焼きふたつと、先にショーケースから味見させてもらったお菓子の代金を払って帰ろうとすると

「今回はいいよ」

と、首を横に振るお父さん。

な、なんですって…!いけませんお父さん!ここはしっかり…!

ホームで頬張るたい焼きの味

手でたいやきを持つ様子

深々礼をしお店を後にしたワタシ。

雨の商店街をてくてく歩き、ホームで電車を待ちながら、焼きたてホカホカのたい焼きをほおばる。

(あれ、たい焼きってこんなに美味しかったっけか)

お父さんの焼いてくれたたい焼きがあまりにもおいしくて、ほかほかで、

なんでかすごく泣きたいキモチになりましたとさ。

<基本情報>

*住所:〒221-0002
神奈川県横浜市神奈川区大口通16

*営業時間:10:00-18:30

*定休日:年中無休

*連絡先:045-401-6497

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手塚 みつ子

手塚 みつ子

北海道出身、AB型。 好きな駄菓子は「どらチョコ」。 中学時代「ポテトスナック」との衝撃的出会いから一時しょっぱい系駄菓子に傾倒するも、二十歳を過ぎて再び「どらチョコ」路線に落ち着く。 特技は竹馬。なかなか披露の場がなく残念に思っている。
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