準備は万端。
この日の為に、姉の家に行く際には何かしら手土産などを持って行き「食べ物をあげる」という行為そのものに不自然さが出ないよう努めてもきた。
こらイケる…(確信)
かつて、姉にもらったばっちんガムで何度か仕返しをと試みたものの、稚拙な演技力と、そもそもが姉からのお下がりの指ばっちんだという二重のネックにより、成功した試しがなかったが、今度は大丈夫。
なんたって “私の” ばっちんガムだもの。
決戦へ
私は本来清く正しく生きていたいタイプだし、純朴な弱いものを騙くらかして自分だけゲラゲラ笑うだなんてことはできないのだけれど、今回だけは見逃してね神様、と胸の内で懺悔の言い訳を呟きつつ…
満を持して、いよいよ例のブツを取り出す。
私「ねえ、ガム食べる?」(どきどきどき)
姉「いや、いらない」(アッサリ)
私「・・・」(ガム持ったまま硬直)
姉「・・・」(憮然とした表情)
➡︎結果:スマートに断られる。
なぜ。
取り乱す筆者。
なんでひっかかんないのさ(つД`)!
ここはひっかかってよ(つД`)!
わざわざ買ったんだから〜〜(つД`)
今からでもいいから(つД`)!
ほらッ(つД`)ノ!取ってよ〜〜〜(つД`)
1回だけでいいから〜〜(つД`)お願い〜〜〜〜(つД`)
逆ギレ、駄々をこね、しまいには懇願する始末。(完敗)
結局どこがだめだったのか、敗因聴取。
曰く
「自然さがない、カドが角ばりすぎてる。」とのこと。
どうやら、このカドの部分があまりにも直角で小綺麗すぎた為に、不信感を与えてしまった模様。
私「じゃあ、角ばってなかったらひっかかってた?私の演技は上手だったってことね?」
姉「いや、不審だったよ。ガムもそんなに食べたくなかったし」
私「・・・」
指ばっちんガムのこれから
世界には、ばっちんできる者とばっちんできない者がいる。
ばっちんされる者と、ばっちんされない者がいる。
筆者のような根っからの正直者が誰かをばっちんする為には、相当の演技力と、自然な丸みを帯びた状態の指ばっちんガムが必要だろうけれど、それさえクリアすれば、いつかは誰かをばっちんできるかもしれない。
そんな日を夢見て、
指ばっちんガムは今日も私のカバンの隅で次なるターゲットを狙っている。
それでは最後に
指ばっちんガムの歌を唄います、聴いてください。
「小さな世界〜指ばっちんver.〜」
作詞:手塚みつ子
歌い手:募集中
世界〜中〜だれだ〜って〜ばっちんできる〜わけじゃ〜な〜い♪
でもた〜まには〜私も誰かの指を〜ばっちんしたい〜♪
世界は〜狭い〜世界はおなじ〜♪
ら〜らら〜ら〜ら〜らら〜♪
私もばっちんしたい〜〜…♪
おしまい。
手塚 みつ子
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