今回訪れたのは東京・分倍河原。
京王線で新宿駅から20分程度、高尾山近くのこの街に降り立つのは初めてだが、下町感が溢れ、東京とは思えない穏やかさが心地よい。
この度取材させていただいたのは、分倍河原駅から徒歩で20分弱、閑静な住宅街の中にひっそりとたたずむ駄菓子屋さん「駄菓子屋なまあず」だ。
旦那さんのことを想い始まった駄菓子屋
今回取材に応じてくださったのは、店主の石塚さん。
遠いところからよく来てくれましたと、素敵な笑顔で迎えてくだった。
(いえいえ、大好きな駄菓子屋さんになら、どこまででも行きますとも・・・!)
そんな熱い想いを胸にまずはお店を始めたきっかけを伺った。
お店を開かれたのは2012年。
ご病気になってしまった旦那さんがお仕事ができるようにと、息子さんが駄菓子を仕入れてきて、畳一枚程のスペースで駄菓子屋さんを始めたのがきっかけ。
全く初めての業界、最初は仕入れから計算から、子供と接することまで、何もかも初めてで戸惑いの毎日だったが、それも徐々に慣れ、だんだんご主人も楽しめるようになってきた、と石塚さんは語る。
子供達と共に歩む駄菓子屋
ご主人が亡くなられた後は石塚さんがお店を切り盛りするように。
元々は事務系のお仕事に就かれていたとのことで、当時のご主人と同じく毎日が試行錯誤の連続のよう。
石塚さん
『私もずっと事務系の仕事をしていて、駄菓子のことなんてさっぱり分からなかったから、今も戸惑いの連続ですよ。
商品もどんなのが良いか全然分からなかったけど、子供が色々リクエストしてくれるんです。
「今度あれ買ってきて!」
「最近流行ってるあれが食べてみたい!」
って。子供達の要望に応えるのは大変だけど、喜んでくれるから』
控えめな笑顔で語る石塚さん。
「駄菓子のことは詳しくないから・・・」と謙遜されているが、品揃え・レイアウト共に他の駄菓子屋さんに引けを取らないし、何よりおもちゃが豊富だ。
おもちゃの数がすごいですね!
僕も見たことないものばかりです。
最近の子供達はこういったものが好きなんですね。
石塚さん
『そうそう、安く楽しく遊べるようにね。子供のリクエストを聞いてなるべく揃えるようにしていますよ。』
なるほどここは、「子供達と共に作り上げていく駄菓子屋さん」なんだな。
駄菓子・おもちゃを愛する子供達のために
前述の通りお店を始められたのは2012年と、比較的新しい駄菓子屋さんということもあり、興味があってお聞きしてみた。
あの、最初にお店を始める時って、問屋さんはどうやって見つけるんですか?
石塚さん
「ここから近いところにが問屋さんがあってね、いつもそこに行っていますね。
自転車で積める分だけ買って、ここまで持ってきているの。」
ご自身で運ばれているんですね。
大変だ・・・
歩いて数十分の距離を自転車とはいえ、駄菓子とおもちゃを積んで帰ってくるのは相当大変なはず。
それも楽しみに待っている子供達のためだと思うと、熱いものが込み上げてくる。
石塚さん
「一度にたくさんのものをまとめ買いするときは、少し遠くにある大きな問屋さんに行っています。
そこは前職の人が外出時にたまたま見つけて教えてくれたの。
子供に欲しいものをノートに書いてもらって、いつも必死に探していますよ。」
少しずつ、でも確かに、受け入れられ、愛されていく
落ち着いた静かな住宅街にあることもあって、開店当初は駄菓子屋さんであることも気づかれなかったそう。
それから徐々に地元の小中学生の子供達が通い始め、最近ではホームページを見て遠方から訪れてきた人もいらっしゃるのだとか。
石塚さん
『ちょっと前に、「自分も将来駄菓子屋さんを始めるから、お店を見させてほしい」と言ってきた人がいましたね。うちが参考になるのか分からなかったけど、とても熱心な方でしたよ。
それに、最近問屋さんに行くと、「私も将来駄菓子屋さん始めたいんです」って言ってくれる若い主婦の方が多くてね。
「若いから長くお店ができて羨ましいわ!」なんて言ってますよ!」
そう言って笑う石塚さん。
いやいや、石塚さんもまだまだお若い。ご本人が望まれるなら、まだまだお店を続けていただきたい。
それに、駄菓子屋さんを始めたいという主婦の方が多いことには驚いた。
まだお顔もお名前も知らないが、いつか本当に駄菓子屋さんをオープンした暁には、ぜひ全国駄菓子屋巡りで取材させていただきたい。
【基本情報】 駄菓子屋なまあず 住所:東京都府中市美好町2-25-8 営業時間:14:00~18:00 定休日:不定休 ホームページ:http://dagashiya-namazu.jpn.org/ ツイッター:@namazudagasiya |
子供たちへの愛情がすごいわ!
駄菓子屋さんを始めたい方、結構いらっしゃるのね!
今野 隆吾
最新記事 by 今野 隆吾 (全て見る)
- 駄菓子屋メディア運営会社が1日限定駄菓子屋をやった話 | だがしやあなざーぱす - 2024年8月7日
- 板橋区赤塚新町の駄菓子屋『うお菓子屋』| 夏はみんなでめだかすくい! - 2024年3月2日
- お好み焼きが美味過ぎる西新井の駄菓子屋『ひばり』に行ってきた - 2023年6月18日