名古屋の繁華街・栄にも程近い、都会の一角にお店を構える「地球堂」さん。
こんなところにも駄菓子屋さんがあるの?と思いながら大通りを歩いていたところ、
一つ角を曲がると目の前に公園と小学校。
そして挟まれるようにして、見つけました地球堂さん。
都会の駄菓子屋さんは比較的新しいのかと思いきや、お話を伺うと長い歴史と共に歩まれてきたことが分かりました。
駄菓子屋・地球堂のはじまり
店主の栗田さんが始められてから41年になるという地球堂。
この素敵なネーミングはどこから来たのかと伺ったところ…
創業は昭和8年にさかのぼり、栗田さんのおばあさまの妹さんが初代として始められたそうです。
先代曰く、その頃は近くに「地球池」という池があったとか。
そこから地球堂という名前になり、2代目となる栗田さんもそのまま店名を継いでいらっしゃいます。
栗田さんも地球池を見たことはないそうですが、目の前の公園が布池公園なので、その昔は池があったのかも?
本当にあったのか、どこにあったのか、今や幻の池となってしまいましたが、お店の名前で生き続けているって素敵。
充実の品揃え!壁やドアまでびっしりの店内
昔は文房具も扱っていたそうですが、現在は駄菓子をはじめとした食品類とおもちゃ、タバコを販売しています。
公園と小学校に挟まれたこの上ない好立地。
目の前の公園で遊べるようにと、ボールやバドミントンなどアウトドア系の玩具も充実。
これは平日の夕方も、週末も、子どもや家族連れで賑わうことでしょう!
と思ったら、取材に伺った平日昼間にはサラリーマンのおじさん方が多数ご来店。
駄菓子売り場の隣に置いているパンやおにぎり、お弁当やカップ麺なども主力商品となっているようです。
もちろん駄菓子も、定番を中心に豊富にそろってます!
そんな中で今回私が気になったのは「ふにゃりっち」。
はい、またソフトキャンディシリーズです。
以前、安藤商店さんでガブリチュウとカジリッチョについてご紹介しましたが、さらなる対抗馬が登場!?
お値段50円と少しお高めですが、大きさを比べてみて納得しました。
「骨ぬきのやわらか食感」というキャッチフレーズのとおり、かなり柔らかい!
「ふにゃりっち」という商品名もピッタリ!
量も多いし、個人的には3つのソフトキャンディシリーズの中ではこれが1番好きかも。
それから、地球堂さんも袋菓子のばら売りをチラホラ置かれています。
袋で買うとけっこうなお値段するので、これをやってくれると子供も買えてありがたい!
それと、ばら売りゾーンがある訳ではなく、普通の駄菓子に紛れてあちこちに潜んでいる感じが面白かった。
そういえばチョコパイの隣のおにぎりせんべい、東海より西では定番中の定番駄菓子ですが、東日本ではほとんど売られていません。
東京で生まれ育った私も、名古屋に来て初めて知りました。
こちらでは、全国じゃないことを知って驚く人が多いみたいですよ!
増税、軽減税率、どこ吹く風
平日のお昼を食べに来店するおじさんたちは、思い思いの商品を手にとってお会計すると、自分でポットのお湯を入れたり電子レンジで温めたりして、お店の中で昼食を済ませていかれます。
そう、ここにはイートインスペースがあるのです!
そこで気になるのが、タイムリーな軽減税率問題。
※取材に伺ったのは、増税が施行されて2日目の10月2日でした。
店内で食べているお客さんたちは、10%の消費税を払っているのかしら?
すると栗田さんは「そんなの考えたこともないわよ!」と一蹴。
増税だろうが軽減税率だろうが、そもそも消費税の計算が面倒だから、最初から消費税は取ってないんですって!
おもちゃは10%になるし、今回の増税はさすがに厳しいというお店も多いみたいですけど…
と余計な心配をする私に、
「厳しいと言ったって、ややこしい方が嫌でしょう!な~んとも思わない。」
と、栗田さん。カッコイイっす。
ちょうど取材当時、近所に新しいカレー屋さんがオープンしたそうで、お昼を買いに来ていたサラリーマンの方々が帰り際に、
「カレー屋オープンしたってね!」
「今日はあっち行こうかと思っちゃったよ」
と、冗談交じりに栗田さんに声をかけていました。
栗田さんも
「ダメよここで食べなきゃ!」
と返します。
おじさんたちと栗田さんの会話はほんの二言三言ずつでしたが、
その短い会話の中に、日ごろの信頼感のようなものを感じてホッコリ。
やはり新しいお店よりも、「いつものお店でいつものお昼」が午後のお仕事の活力になるんですかね。
駄菓子屋とお客さんご縁の証・10冊のノート
地球堂さんをご紹介するにあたって、外せないのがコチラ。
平成22年頃から始めたというノートには、お店に来た方の名前や日付とともに栗田さんへのメッセージが沢山書かれていました。
個人情報てんこ盛りのため、写真でご紹介できないのが残念!!
「お客さんの顔は覚えていても、名前まではなかなか覚えられないから」と始めたこのノート。
パラパラと中を見せていただくと、メッセージを読むだけでなんとなくその場の様子が頭に浮かんできます!
もちろん、私はそれぞれのお客さんにお会いしたことはないので顔までは浮かびませんが、きっと栗田さんはこのノートを読み返すことで、その日に出会ったお客さんのお顔もはっきり浮かんでいることと思います。
「それでもなかなか覚えられないよ」
と謙遜されていましたが、たくさんのお客さんとの思い出を話してくださったことや、このノートを大切に保管されていることからも、栗田さんの内に秘めたお客さんへの思い、ご縁を大切にする心がしっかり伝わってきました。
実は、栗田さんから「書いてってね」とのお言葉を頂戴し、私も僭越ながら10冊目のノートにお礼のメッセージを添えて名前を書かせていただきました!
ところで、お店の壁には、有名人のサイン色紙もずらりと並んでいます。
最近ワールドカップバレーで大活躍だった鍋谷選手や、中日ドラゴンズで活躍された和田選手など、一流選手も訪れているようです。
それから、フィギュアスケートの宇野昌磨選手が近隣の小学校に通っていた時期があったとか。
残念ながら先ほどのノートへの記入はないようですが、同世代のお客さんの話では、
「一緒にここでゲームしたりおやつ食べたりしたはず」だそうです。
ってことは、
(ここの椅子に座ってたのかしら!?)
と、イートインコーナーの椅子をまじまじと見つめてしまう私でした(笑)
気遣いの店主・栗田さん
常に淡々とした口調で話す栗田さんでしたが、とにかく心優しい。
取材中に急に雨が降ってきて、帰りの私の傘を心配してくださったり、運よく雨が上がって失礼する際には、さりげなく缶コーヒーを持たせてくださったり。
当然お金をお支払いしようとする私に、
「売れそうにないコーヒーだから持ってって」と。
こんな気遣いの栗田さんのお人柄が、長きに渡ってお客さんが集まるお店を支えているに違いない!
まさに、都会のオアシス。
「駄菓子屋さんの魅力=店主さん」
を改めて感じることのでできる時間となりました。
栗田さんの前では恥ずかしさが先に立って言い出せなかったのですが、
「宇野昌磨くんが座ったかもしれないあの椅子にちょっとでも座らせてもらえばよかった…」
と若干後悔しながら、駅で缶コーヒーをいただいたのでした。
基本情報 |
心も体もホッと休まるお店ね!
さくら
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