〜駄菓子・糸引き飴をどうやって食べるのか問題〜(前編)
銀杏の葉も少しずつ色づきはじめ、
いよいよ秋めいてまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
つい先日、「フレンドショップ・ひまわり」の店頭にて
私が「糸引き飴」という歴史ある駄菓子飴を購入したことは、
皆さま記憶に新しいことと存じます。
此度はその糸引き飴を巡って私の身に起きましたアレヤコレヤの葛藤を
後日談としてお届けできればと思い、筆をとりました次第。
しばしお付き合いいただけますと幸いです。
駄菓子・糸引き飴ってなんだっけ?
まずはかるく「糸引き飴」の概要をさらっておきましょう。
駄菓子「糸引き飴」という言葉を引くと下記のような記述にあたります。
糸のついた飴。大きさの異なる飴の束から1本ずつ糸を引く。
くじ引き要素のある駄菓子の定番。耕生製菓などが製造する。
「フルーツ引」「三角アメ」などと呼ばれる。
(デジタル大辞泉プラス)
そんな糸引き飴に初挑戦し、
見事大きな“当たり”を引き当てたのが前回の訪問であったわけですが、
家に持ち帰りいざ食べようとする段、ある問題が…
「ところで、これは、どのように食べるのか…?」
問題は、むろんこの糸にあります。
糸さえなければ至極簡単、飴本体をぽいと口に放り込んでおしまい。
飴とは本来そういうものです。
しかしこれは・・・
糸というものは、それ自体に独立性があるわけでなし、棒付き飴のようにそれを基軸に舐めるということができない。
糸は、ぷらぷらと力なくぶら下がるばかりである。
そうなると、食べるにはいくつかの方法が考えられます。
【その1】駄菓子・糸引き飴の糸を有効活用しようとするやり方
本来ならば、まずそう考えるのが健全というもの。
なにせ糸がついてるんですから。
しかしそうなると、手でこの糸をつまみ上げ、
下から飴をチョイチョイとつつくようにしてなめるのでしょうか。
いわゆるパン食い競争の図である。
うまくいけば舐められるし、
そのうち飴がぷらぷらしてきて舐められない時もある。
…舐められない時?自分の意思で舐められない飴などあるでしょうか。
♪舐めれるかな〜、舐めれないかな〜
おーっと舐めれない〜〜〜舐めれない〜〜♪
ぷらぷら飴と格闘しているうちに、
もはやどちらがナメられているのやらわからぬ様相を呈してくる。
もう、そんならおまえ最初から
「ぷらぷら飴」って名前にしとけよ!!!
怒り心頭である。ぷんぷん。
第一、 ぷらぷらしてる飴を舐めるだなんてお行儀が悪いわよ。
そんな飴、お母さん、ぜったい許しませんからね!!!
お母さんもぷんぷんである。
飴ごときでお母さんにぷんぷんされてはたまらないので、
そうなると、別の方法を模索する必要があります。次。
【その2】駄菓子・糸引き飴の糸をとってしまう方法。
つまり、引っぱる時の楽しみを存分に提供
ようやくここでお役御免、ゴミ箱へ…という流れ。
なるほどなるほど。たしかにそれが一番具合がよい。
飴はもともと糸などついていないものだし。
ぽんと手をうち、ではではと糸を引っ張る。
すると、マア、抜けません。
ああ、もう。あまえってやつはもう。
糸引き飴の糸は、「糸」とはいいつつ結構な強度がある。
そんな糸であるから少々の力を加えても途中でちぎれたりすることはない。
が、少々どころか中々くらいの力で引っ張ってもびくともしない。
飴はしっかりと糸先をホールドし、
離すものか俺は糸引き飴なんだぞと言わんばかりの力強さで抗う。
でも確かに、ここで容易く外れてしまうようでは、
選ぶ際に外れてしまうかもしれなく、
そうなると引いた者たちをひどく失望させてしまう。
そうならない為にも、飴と糸とは互いに分かち難く繋がっているのである。
糸と飴〜分かち難い絆〜
彼らはそれぞれ相反する姿形をしていながら、
思いの向かうところはただひとつ。
「俺(糸)とお前(飴)で駄菓子バイヤーたちを楽しませてやろうゼ!」
糸が飴をうまくマネージメントし、
飴が本来もつ魅力以上のものを発揮する為の道具として自らの身を差し出す。
華やかなのはいつも飴。喜ばれるのはいつも飴。
でも、これが飴だけの商品だったら、
これほどまでに長く民衆の支持を得たでしょうか。
人々は飴そのものに心奪われているように見えながら、
彼らに“引っ張る”という選択の楽しみを与えているのは、
まぎれもない、糸。
十分に場をあたため、最高の形で相棒を送り出す、
その役目を担うは、糸。
駄菓子・糸引き飴、なんぴともこれ、引き離すべからず。
(〜後編へ続く〜)

手塚 みつ子

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