やって参りました、茅ヶ崎。
新型コロナウイルスの発生により企業のリモートワークが普及し、都内からの移住先として今最も注目されているアツい街だ。
かくいう筆者の実家も2021年に茅ヶ崎に移住し、自身もすっかり茅ヶ崎の虜。
毎回理由をつけては少なくとも3ヶ月に一度は帰省し、街を、海を、グルメを思う存分満喫している。
普通に住みたい。
こんな素敵な街に素敵な駄菓子屋さんがあったら・・・
あった。最高に素敵な駄菓子屋さん。
それが今回取材させていただいた『ants coffee(アンツコーヒー)』さんだ。
たまたま帰省していたタイミングで取材打診のご連絡をさせていただいたところ、なんとその翌日にお伺いできることになった。
ants coffeeの店主・山口さんに創業の経緯や店名の由来、湘南エリアでの駄菓子屋経営などについてお話を伺った。
海まで徒歩3分!美しい佇まい
茅ヶ崎駅の南口を出てひたすら海に向かって歩くとants coffeeが現れる。
入口からそっと除く駄菓子が気になって思わず引き込まれてしまう人も多いハズ。
どこかで昼飲みをした帰りにゆらゆらと訪れる人もいれば、荒波に揉まれた後に塩分を求めてやってくるサーファーも多いそう。
近くには中学校もあり、やはり下校の時間帯になると多くの子供達が駄菓子を求めて大挙する。
海辺の学校に放課後駄菓子屋。眩しい青春・・・
駄菓子屋「ants coffee」を始めたきっかけとコーヒー
ants coffeeはご夫婦で経営されている。
創業のきっかけは旦那様の方が「駄菓子屋をやりたい」と言ったからなのだそう。
そこで、駄菓子に加えて奥様が元々お好きだった文房具も一緒に販売し始めたことが、駄菓子×文房具の「ants coffee」のはじまりであるとのこと。
ちなみに創業は2014年
確かに、お店に入って左手にはなかなか文房具屋さんでは見かけることがない素敵文房具たちが所狭しと並んでいる。
今回は取材のためお昼にお邪魔させていただいたのだが、文房具を求めて来店される大人のお客様が多数いた。
駄菓子と文房具、あるようでなかった組み合わせだなぁ。
その後、親子連れで来店されるお客さんのために、子どもは駄菓子でワイワイ、大人はコーヒーでホッと一息つけるようにとコーヒーの提供も始めたそうだ。
今では「駄菓子×文房具×コーヒー」のお店として老若男女に愛されている。
『ants coffee』名前の由来
ところでこちらのお店のお名前『ants coffee(アンツコーヒー)』だが、パッと聞くと駄菓子屋さんという感じはしない。
どうしてこちらのお名前にしたんですか?
「「小さい」って意味合いの言葉を入れたくて、子どもたちを表すような。それでアリさんかなということで、『ants』を選びました。」
筆者が訪れたのは平日のお昼時。
子どもたちはまだ学校で授業中の時間帯なので、小さいアリさんたちは見られなかったが、代わりに大人アリさんたちがひっきりなしに訪れ、文房具に、駄菓子に目を輝かせていた。
駄菓子に釘付けになる一番でかい大カナブンが俺。
ants coffeeは子どもたちの「実践の場」
駄菓子屋さんは、子どもたちが好きな駄菓子を選んで買って帰るだけの、”ただ楽しい”場所ではない。
親でも学校の先生でもない、駄菓子屋の店主から時に褒められたり、怒られたり、色んなことを学んだり、人にはなかなか言えないことを打ち明けたり、駄菓子を通じて学校ではあんまり話さなかった友達を関係を深めたり。
それはそれは色んな体験ができる、まさにサードプレイスだ。
駄菓子屋さんでできる数ある体験の中で最も貴重なことの一つが、「数字に触れられる」機会だと個人的には思っている。
自分のお金でいくらの駄菓子が幾つ買えるのか。
単価が高いものを少量買うのか。
逆に単価が安いものを予算が許す限り大量に買うのか。
質か量か。
自分にとっての幸せの価値観を測れる機会にもなる。
まさに、”身銭を切って”学ぶことほど身になることはない。
子ども専用特設会計エリアを設置
とにかく自分で会計をしたがるお子さんも多いらしい。
しかし、一般的なレジは大人の身長に合わせて作られているため、4-5歳くらいの子どもの身長では会計がしにくいそう。
そこで、山口さんは子ども専用に低めのレジカウンターを設置した。
大人が会計するときは通常のレジカウンターへ、小さい子どものときは専用レジへと移動と大忙し。
『とにかく自分で計算したがる子どもは成長が早い気がしますね。反対に、とりあえず持ってるお金を全部出して、「これで適当に見繕って」みたいなことを言う子どももいて(笑)色んな子がいて面白いです。』
と山口さんは言う。
ants cofffeeをとにかく長く続けていきたい
最後に、ants coffeeさんの今後の展望をお伺いしたところ、
「とにかくこれからも長く続けていきたい」
とのこと。
2014年創業と聞くとまだまだ新しいように感じるが、創業当時中高生で、お店に通っていた子たちは成人している。
『当時小さかった子たちが大人になって「久しぶり!覚えてる?」って来てくれることもありますが、子供の成長は凄まじくて、ひと目見ただけでは誰か分からないこともあるんです笑』
子どもの8年は見た目変わり過ぎるからね。
最近では、小さい子どもの親世代も駄菓子屋さんを知らず、ants coffeeが初めての駄菓子屋来訪になることもあるようだ。
確かに、小さい子どもを持つというともう自分(29歳)と同世代くらいか。
子どもの頃、放課後に毎日駄菓子屋さん通ったドンピシャ世代ではないかもしれない。
かく言う自分も身の回りに駄菓子屋さんなかったし。
でもこうして茅ヶ崎にants coffeeさんがあることで、再び湘南エリアに駄菓子屋文化が継承されるようになれば、大変嬉しく思う。
ants coffeeさん、お忙しい中取材に応じてくださりありがとうございました!
【基本情報】 ■営業時間 ■ホームページ |
今野 隆吾
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