ファッションは20年周期で、流行が巡るといわれています。
そして、レトロブームも似たサイクルを繰り返しています。しかし、ここ数年「昭和」がメインテーマであったレトロブームに、新しい兆し「平成」が登るようになりました。
「平成」レトロブームの魅力を追いながら、海外のレトロムーブも見ていきます。
話題のレトロブームとは
過去の生活様式をあえて体感することで「ノスタルジー」を体感する流行を「レトロブーム」と呼びます。
あらゆるものが洗練・効率化され、ある種「無機質」と言われるような現代の中で、「温かみ」「不便さ」「不完全さ」を求める人々が増えたことが、レトロブームが始まったきっかけと言われています。
レトロブームと言えば「昭和」だった
昭和レトロブームは、1980年代から断続的に流行を繰り返しています。
2010年代から現在にかけても昭和をモチーフにしたテーマパークや純喫茶の他、レコーダープレーヤーや黒電話など昭和を代表するアイテムが話題となりました。
また、公衆電話の使い方を知らない若者など、世代間のギャップがニュースに度々掲載されました。
しかし2020年代から今までになかった、新たなレトロブームが、徐々に人気を広げています。
新しいレトロブーム「平成」
なぜか次世代レトロブームの主役は、つい最近にも感じられる「平成」に移ろうとしています。
「平成」はもはや最近ではない?
令和になってから数年しか経たないうちに、平成を”レトロ”と形容することへの違和感をもつひとも多いのではないでしょうか。
しかし、Z世代と呼ばれる1990年後半から2010年初頭に生まれた世代にとっては、平成の前期と中期は目新しさや、懐かしさを感じる要素を存分に、秘めているのです。
昭和世代が戦後からバブル時代に向けている「懐かしさ」や「新鮮さ」などの眼差しを、Z世代は平成に向けていると言えるでしょう。
火付け役となったZ世代
特にZ世代は、幼少期からSNSで最新の情報に触れることに慣れており、前世代の若年層に比較して流行に敏感な点が特徴です。またその反動から飽き性であるとも言われています。
その飽き性が、レトロブームを昭和から平成に動かすキッカケを作り、流行に対しての敏感さが、平成ブームを瞬く間にトレンドへと押し上げました。
またZ世代と「平成」レトロブームの関係を理解するのに、「エモい」という言葉は外せません。
Z世代と「エモい」
近年トレンドに「エモい」という言葉があります。
この単語は感情を意味する英単語「エモーション」の略からきており。温かみや心を揺さぶられるような感情を指して使われます。
Z世代は幼少期からパソコンや、携帯電話などネットワーク環境に触れることが当たり前です。
あらゆるものが高速化・効率化された世界の中で生きていると言えるでしょう。
そのためあえてオフラインで、不便で手間がかかるようなアナログなことに「エモさ」を感じている、と言われているのです。
平成レトロブームのトレンド
「昭和」レトロブームにも黒電話や純喫茶など、幼い頃に親しんだ世代には懐かしく、初めて見る世代にとっては、新鮮なアイテムが登場しました。
それに対応するような、「平成」レトロブームの代表的なアイテムを紹介します。
平成のゲーム
スーパーファミコンやプレイステーションなど、平成前期を代表するゲーム機である初代「プレイステーション」や「スーパーファミコン」を解説したり、ゲームを実際にプレイしたりする動画が、YoutubeやSNSで再生数を集めています。
メーカーも平成レトロの需要を見越してか、過去に流行したゲーム作品のリメイクを発売したり、平成ゲーム機のミニチュア「クラッシックシリーズ」が販売され絶賛を受けました。
今後は、インベーダーシリーズなど昭和末期から平成初期のゲームセンターアーケード機を題材にしたミニチュアシリーズが、販売される予定もあるそうです。
以下の記事でもう一度聞きたい懐かしのレトロ曲を特集しています。
有線イヤホン
現在ではワイヤレスイヤホンの使用率が伸び、価格の低下も進んだことからあえて有線イヤホンを選択する際は、音質の良さなど、性能を理由にすることが多いかもしれません。
しかし「平成」レトロブームでは、耳からスマホへとイヤホンのケーブルをたらす様子にファッション性を感じているようです。
MDの復刻
昭和レトロでカセットテープが脚光を浴び、アーティストがテープで作品を販売することが話題になりました。同様に平成レトロムーブではあえて、MDで販売されることが注目を集めています。
インスタントカメラ
インスタントカメラ「写ルンです」がSNSで話題です。インスタントカメラ人気は「平成」レトロブームと上述した「エモさ」の関係を最も反映した一品といえるかもしれません。荒い画質と現像する一手間に「エモさ」を感じさせる点がZ世代を捉えたと言われています。
ガラケー
スマホネイティブであるZ世代の10代にとって、ボタン操作でアンテナ付きのガラケーは「目新しさ」の象徴です。インスタグラムではガラケー関連の画像が3万5000件も投稿されています。
デジタル腕時計
2010年代半ばからチープカシオと呼ばれるカシオの安価な価格帯の腕時計が人気を集めました。2010年代のチープカシオは安いのに、おしゃれであるという理由で流行になり、レトロブームの要素はありませんでした。
しかし平成レトロブームでは腕時計自体が、スマートウォッチに移りつつある流れからか、デジタル腕時計がレトロアイテムとしてトレンドになりました。
スケルトンボディ
1998年にAppleのデスクトップパソコンIMACが透明のボディ「スケルトン」を採用しました。その影響から様々な製品に「スケルトン」が用いられ「スケルトン」は平成文化のひとつともいわれています。
「平成」レトロブームでも「スケルトン」は注目度の高いトレンドのひとつです。
海外でも90年代レトロブームが発生!
「平成」レトロムーブのような、比較的近い時代に対してのノスタルジアは、日本にとどまらず世界的な流行となっています。
ヴィンテージカーをEV化
アメリカでは70年代の自動車をEV化した製品が、注目されています。
過去の自動車は石油燃料を多く使用するため、環境に悪影響を与えることからリバイバル発売が困難でした。電気自動車化することで復刻を可能にしたといわれています。
New Retro wave
アメリカでも「昭和」「大正」レトロに当たる、19世紀の西部時代や「古き良き時代」とされた1950年代へのノスタルジーが、たびたびブームになりました。
しかしここ数年で1980年代から90年代を題材にしたレトロブームが、新しいサブカルチャーとして、New retro wave(ニューレトロウェイブ)として確立しつつあります。
New retro waveはアメリカ版「平成レトロ」といえるかもしれません。
「New retro wave」を題材にした楽曲やファッション、インテリアなどが発売されています。
また日本も影響を受けていて、系統が同じ作品が発売されたり、上述した「平成レトロ」に関連してオマージュされた、アニメやゲーム作品が、作られたりしています。
「日本のレトロ」が海外で流行!?
2020年の中頃から世界的に日本の80年代文化が流行しており、日本のシティポップやセル画アニメーションが再評価されています。世界の音楽配信サイト「Spotify」で突然ランキング上位になることも、珍しくありません。韓国では「ニュートロ」と呼ばれ一つのサブカルチャージャンルとされています。
海外で日本80年代文化が人気を集めた理由は「目新しさ」です。日本のZ世代が「平成レトロ」に、眼差しを向ける理由と同じであるといえるでしょう。
次のレトロブームが起こるのはいつか
「平成」の時代がレトロとして人気を得たように、現在の最先端が次のレトロブームの要素として扱われる時代が、来るかもしれません。
レトロブームが、身近なアイテムから生まれることを想像することも楽しみのひとつです。
またレトロブームの面白いところは単純なリバイバルではなく、過去の要素に独自のアレンジを加えて、新しいジャンルを確立するところにあるともいえます。
Z世代の作り出す新たなジャンルを楽しみに待ちたいところです。
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