店内に溢れる笑顔、駄菓子屋・井本商店〜品川区・下神明〜

東京都

いつもの道いつもの景色の中にふと気分を変えて新しい道を行ってみると、そこには知らなかった世界があったりします。

思わぬものを見つけられたり、普段は出会わないような人に出会えたり。

その街の暮らしの中に溶け込んでいたつもりでも、まだまだ知らなかったんだということは誰しもが少なからず経験したことがあるはず。

そんな発見ができる場所が品川区の下神明駅にありました。

ここは家族が住んでいるためよく通る道でもあり、よく知る場所だと高を括っていたのが間違いでした。

今回ご紹介する「井本商店」はいつもの道とは違うその道を行かねば辿り着けない場所にあります。

迷路のような道を抜けるとそこにあったのは馴染みの「タバコ屋」の文字。

その中はとても居心地が良く、子供たちの笑い声が外にまで聞こえてきます。

今回は皆さまを「居心地の良い場所」へいざないます。

たくさんの魅力が詰まった「井本商店」の世界へようこそ。

お店の正面
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代々続く、女店主達

駄菓子を持つ女性
明るい店内にも負けない陽気な店主、井本さん

「こんにちは、道に迷わなかった?」と活気ある声で温かく出迎えてくれた店主、井本さん。

店内は明るく、美しく陳列された商品が並び“清潔感”という言葉がぴったりの駄菓子屋さんです。

「ねぇお湯ちょうだい」「ねぇこれいくらだっけ」「お水ください」と次々と来る問いかけにも「はーい」と弾むような声と慣れた手つきでこなします。

お店のレジに立つ女性
懐かしい“たばこ”の文字と外からも買える便利なカウンター

創業は昭和5年、ご主人のお父さまがタバコと雑貨を売るお店として始め、喫煙具を売る問屋さんが持ってきた「うまい棒」を置いたことから徐々に駄菓子が増えていきます。

現在は駄菓子が大半を占めるなか、たばこと日用雑貨、学習用具が置かれた、地域密着のお店です。

井本家では男親は外で働き、女親が店を守るという形で、姑から嫁へと受け継がれ、街の子供たちから“おばちゃん”として親しまれ人気を博しています。

駄菓子屋・井本商店のサービスがすごい

お菓子をコップに注ぐ手
カップ麺を買うと井本さんが作ってくれます
数種類のタイマー
各カップ麺をタイマーで計るというこだわりのサービス
水をコップに注ぐ様子
お水いる?と絶妙なタイミングで入れてくれます

ここ井本商店で一番驚いたのはサービスの良さ。

客寄せのためでも儲かるためでもない、井本さんの人柄の良さと愛情で成り立つサービスです。

カップ麺を買えば作ってくれ、各々タイマーで出来上がり時間を計るというこだわりよう。

そして絶妙なタイミングでお水を入れてくれます。

実はここ、近所の駄菓子屋さんを取材中にサッカー少年達から

「近くにイチ押しの店がある」
「絶対に行った方がいい」

と強く太鼓判を押され、期待値大で伺ったのですが期待を遥かに超えた「超絶おすすめ」の店でした。

買い物をする男子学生
高校生のお客さん、部活の帰りだろうか。
店内を物色する子供達
店内には小さい椅子がいくつもある

サッカー少年達の気分を勝手に代弁して一句

ゆきこロッシ
ゆきこロッシ

腹減った マックじゃなくて イモトだね

きっとこんな会話が日常的にされ「行こうぜ」と部活帰りの小腹の足しに駄菓子やカップ麺を食べ、仲間たちと日々を過ごしているのだろうと、

これをきっと「しあわせ」と呼ぶのだろうな。

井本商店のヒット商品

ここでの一番人気は通称「ペペチ」。

「おばちゃんペペチちょうだい」
「はーいペペチね。どっちのやり方で食べる?」

と何度もやり取りがされ、“ペペチ”とは何だろうと一緒に来た息子と目を合わせます。

駄菓子を手に持つ様子
井本さんおすすめ3点、ペペチもあります

“ペペチ”とはペペロンチーノの略語で、カップ麺にお湯を注いでお湯を捨てるスタイルがパスタ、お湯を残すタイプがラーメンというように食べ方は2種類。

イタリア在住の血が「ペペチを食べずして帰れるか」と沸きたてます。

プラスチック容器に入った麺
パスタでまずはいただきます

基本の食べ方、パスタから。

イタリア人もびっくりな美味しさ、カップ焼きそばの帝王もあっさりと王座を譲りたくなること間違いなしの美味しさです。

これは売れるはず、味のクオリティが高い。

ラーメンとしてもいただきましたが甲乙付け難い美味しさです。

あえていうならパスタに軍配か、これはもう食べていただくしかない。

出来上がり時間もお湯加減も完璧な「井本ペペチ」、ぜひどちらに軍配が上がるのかお試しあれ。

井本商店オリジナルの食べ方

赤いパッケージのお菓子を手に持つ
ガリボリをいざ、調理します

ガリボリは通常そのまま食べる駄菓子だが、これをラーメンにしてほしいという高校生によって生まれた井本オリジナルメニュー“ガリボリ、ラーメン”

手と紙コップ
ガリボリラーメン用カップも用意されている

ガリボリを入れ、“ペペロンチーノ”の粉を少し入れ、お湯を注ぎ完成。

この粉の量は美味しさをよく知る井本さんのさじ加減で決まる、

世界で一つ、ここでしか味わえない味です。

コップに入ったラーメン
ほっとする味、ガリボリ井本ラーメン

おすすめ駄菓子を一気に紹介

お客さんのおすすめを一挙大公開。

プラスチック容器に入ったお菓子
欲しい分だけトングで取ります

最近、記憶力にキレを感じなくなってきた方、必見。

噛めば噛むほど頭が良くなるとか。(情報提供者:常連のスルメ好き女子)

まさかのスルメで脳を活性化、なんて時代がついにきたのかもしれません。

脳の若返りを狙う方、キレッキレになりたい方はスルメでぜひ脳の若返りを図ってみては。

ここでアラフォーの切なる願いを(勇気を出して)一句

ゆきこロッシ
ゆきこロッシ

叶えたい 大人買いして ボケ防止 

長方形のお菓子
何十年と続く味、焼肉さんと蒲焼さん

あの定番の駄菓子に“わさびのり”が。こんな味があったのかと、あまりの美味しさに5枚食べました。(情報提供者:常連の今どき男子)

色鮮やかなお菓子のパッケージ
ベビースター+もんじゃ、美味しくないわけがない
お菓子にお湯を入れた様子
お湯を入れてその名の通り、ぐるぐる混ぜたら完成

これも人気ですと教えてくれたベビースターのぐるぐるもんじゃ。誰もが想像したら食べたくなるような味、考案者に拍手です。

期待通りのハーモニー。

ベビースターで育ったお年頃の大人たちには懐かしくもあり、新しい味としてお気に入りの一品になるかもしれません。

店内に置かれたチョコレート菓子
チョコカステラ、レジ前に並ぶ人気商品

常連の中学生Y君のおすすめ“チョコカステラ”。

とてもフレンドリーで次の取材場所のおすすめを友達のS君と調べてくれ、地図に印までつけてくれた心優しい取材協力者です。

せっかくだからとみんなで食べたチョコカステラ。

優しい味が心に残ります。

こちらのお客さん、みんな良い子たちばかりでした。

ファンになりました

綺麗に陳列された駄菓子
陳列が美しく、見やすくて買いやすい。
カラフルなお菓子の数々
上段にあるロールキャンディも人気の商品

憩いと癒しの空間、笑いの絶えない場所でした。

試行錯誤して出来上がった「井本スタイル」はこれからも人々に愛されていくことでしょう。

ここに来て井本さんと話し、友達と駄菓子を食べて談笑し「今日も一日お疲れ」と

明日への活力にする。そんなパワースポット井本商店がこの街にはありました。

笑顔を見せる女性
この笑顔に会いにいくお客さんが多い

聖地巡礼第2弾「井本商店」は笑顔が溢れる温かい場所でした。

今週末、家族みんなでお客として行きます。ペペチが恋しいのと、この笑顔に会いに行きたいから。

皆さんもぜひ、行ってみてはいかがでしょうか。

きっと、「明日もがんばろう」という活力になる何かがこのお店にはあり、
「今日も良い1日だったな」と帰路に着くことでしょう。

【基本情報】
井本商店
住所:東京都品川区西品川2丁目13-4
連絡先:03-3491-3361
営業時間:平日  10時〜18時
     ※土曜日 不定休
定休日:日曜・祭日  

店主の笑顔がとにかく素敵ね!

井本さんスタイルのペペチも食べてみたいわ!

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ゆきこ ロッシ

ゆきこ ロッシ

子供の頃のおやつは煮干しと果物。駄菓子屋はこっそり行って、ひっそりと楽しむものと思っていた憧れの聖地。 そんな駄菓子屋の魅力を、うまい棒をこよなく愛する息子と聖地巡礼(探訪)します。イタリア在住経験からイタリアネタを得意とし、カラーリストの資格を持つ。3度の飯と旅が好き。
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