南品川の駄菓子屋・稲垣商店〜駄菓子屋は「心を教える場所」〜

駄菓子屋ストーリー

品川駅から京急線で2駅の新馬場駅。

都会を感じさせない、落ち着いた町並みの中に今回取材した「稲垣商店」がある。

道路に止められた車と店の入り口

お店に立ち入ろうとすると、続々と近所の人々がやってくる。

挨拶をして通りすがる人もいれば、「あれ、買いたいんだもん!」とお父さんと一緒に駄菓子を買いにくる子ども、そしてコーヒーを買い、店主に近況を報告する人など…本当にたくさんの人が通りすがる度に声をかけていた。

それが今回の取材で私も「また会いに行きたい」と思った、
稲垣商店の店主“駄菓子屋のおばさん”である。

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稲垣商店の掟・買うものを決めてから手に取ること

まず、お話を伺う前に駄菓子を買おうとすると…

「はい!その前にうちではこのルールね!買うものを決めてから手に取ってね」と、一枚の紙を見せられる。

紙に書かれた文字

なんだかとても懐かしい気持ちに…。

不思議と親からは言われたことがないけど、駄菓子屋さんに行くと確かに必ずこんなことよく言われたなぁ…なんて、ふと自分の幼少期を思い出してしまった。

「これ(掟の紙)を書いたのは最近なんだけど、いつの間にか広まっていて、ここ数年は駄菓子を突いたり触ったりする子はあんまりいなくなったのよ。
この間なんて、初めて来た親子のお母さんが子どもに『ここでは何買うか決めてから手に取らないとダメだからね!』なんて言っていたりしてね、驚いたわ。」

と教えてくれました。

所狭しと並べられた駄菓子
深月あかり
深月あかり

最近はどんなものが一番売れるんですか?

そう聞いてみると

「みんなそうやって聞くんだけど、これが一番売れるとかはないからねぇ。
売れないものは仕入れなくなるから、売れるものを残しているだけだから…」

ふと店内を見渡すと、昔私が大好きだったヨーグルが見当たらないことに気づき、少し切なくなった。

ああ…私の青春のヨーグル……。

「今はね、ゴルフ選手の人が優勝したってんで、これは残り1個!うちではみんな早いもの勝ちだから!」

そう言って、教えてくれたラスイチの駄菓子は【タラタラしてんじゃねーよ!】

イカの味がするお菓子

全英女子オープン優勝した渋谷日向子さんがもぐもぐタイムに食べていたということで、

「タラタラしてんじゃねーよ!」を食べたいと買いに来る人が絶えず、現在大人気なんだとか。
(ちなみにラスト1点のタラタラしてんじゃねーよは私がおいしく頂きました♡笑)

駄菓子も意外にもトレンドは影響あるものなんだなぁ…なんて思いましたね。

駄菓子屋は“心を教える場所”

陳列された駄菓子

稲垣商店には、幼い子どもはもちろん、“昔よく来ていた”という理由で立ち寄ってくれる人も多いそうです。

「昔よく怒った子が親になってから子どもを連れてきたり、彼女ができてから連れてきたり、大人になってからも品川辺りに用事があったからと言ってわざわざ立ち寄ってくれたり。

親になってから連れて来た子なんて、子どもに“俺はこのおばさんにたくさん怒られてきたから、お前もたくさん怒られるんだぞ”なんて言っていたりして。

でも、その時に自分の伝えていたことは間違ってなかったんだなぁ…ってね。」

少し嬉しそうな顔で、笑いながらもそんなことを語ってくれました。

アイスボックスに入ったアイスクリーム

「何か間違ったことをしている子がいたら、それは叱る。
駄菓子屋はそういうことを教える場所だと思っているし、それも駄菓子屋の役割だと思っているからね」

店主がこんなにも魅力的な“駄菓子屋のおばさん”だから、みんなの心の居場所や思い出の場所となって、何年経っても会いに来るんだと思う。

私もこの取材の間でとても大好きな人になった。

大人になってから、何年経っても会いに行く気持ちがすごくよくわかった。

駄菓子屋だけの秘密の特権とは?

お店を正面から見た図

ドライにビジネスの観点だけで見れば、駄菓子屋は“儲かる”というものではない。
だけど、こんなにも続くのは、きっとこの店を愛する人たちのことを大好きだからなのだろう。

「子どもがお菓子を選んでいる時の顔って、本当に嬉しそうな顔をしててね、すっごくニコニコして選んでるの。
親はその顔は見れないからね、そういうのが好きで続けてるのかもしれないわね」

まさに駄菓子屋店主だけの特権であり、秘密の醍醐味。

そして何より、これを話してくれている時のおばさんの目が本当に優しくて、キラキラとしている瞳で、言葉にできない程に心にグッとくるものがあった。

稲垣商店のおばさんは、まさに南品川のマザー。

“厳しさは優しさである”

心の底が優しいおばさんだから、叱られても優しさがちゃんと伝わって、みんなが愛する稲垣商店であり、駄菓子屋のおばさんになっているんだろうなぁ、と思いました。

本当に素敵な女性。

あまりも話に惹き込まれ過ぎてしまって、つい名前を聞くのを忘れてしまった……!

でも帰り際に、「記事がうまくできたら、それ持って、またおいで!」と、おばさん言ってくれまして。

だから私も「また絶対に会いに来よう」と心から思っているし、次はおばさんの名前も聞きに行こうと思う。

【基本情報】
稲垣商店
住所:東京都品川区南品川2丁目9-11

世代を越えて愛される駄菓子屋さん。ルールのことをちゃんと理解して守られているところも素晴らしいわ!

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深月あかり

駄菓子ヨーグルと共に青春を過ごしてきた深月あかりです。本業はアイドルの振付師・ダンス講師です。つまり、踊るライターです。皆さんの心踊る記事を書いていけるよう、がんばります!

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