開店まもない時間にお邪魔したにも関わらず、快く迎えてくださったオーナーの表西さん。
店内には表西さんと女性の店員さんのお二人。
お客さんから注文のあったコーヒー豆を焙煎している最中とのことで、あたりに香ばしい匂いが立ちこめます。
豊富な駄菓子と立ち込めるコーヒーの香りでお出迎え
「この建物は私の親族の持ち物なんですが、空いていたテナントで友人の焙煎士がカフェを始めたのがヒカリ珈琲のはじまりです」
お店の扉を開けるとカウンターがあり、奥には大きな長テーブルとボックス席。
そして棚にはずらりと並んだ駄菓子とコーヒー豆。
まずは、コーヒー豆の仕入れから販売できるまでのひと通りを教えていただきました。
「うちは大阪の中心地と比べて低価格で、しかも100グラムから販売しているので、いろんな味を試したい方、いつも新鮮なコーヒーを味わいたい方には、かなりお得だと思います。駄菓子は買わないけど、コーヒーは好き、美味しいコーヒーを飲みたいという方も全然ウエルカムですよ」
最近淹れたてのコーヒーを飲んでいない筆者も一杯いただきました。
銘柄はエチオピア。
コーヒーが苦手な方でも飲みやすいさっぱりした味わいが特徴です。
しかし、それ以上に驚いたのがカップ。ファイヤーキングというガラス製のマグで、高いものだと8000円はくだらないのだとか。
そういえばアメリカ雑貨店などにはパステルグリーンのカップがあるのを見かけますね。あれのことでしょうか。
駄菓子を目当てに子どもたちが殺到!大人から怪しまれたオープン当初の苦労話
こだわり抜いた豆と茶器。
カフェだけで十分と思えるヒカリ珈琲さんが駄菓子屋を兼ねるようになったのは、アルバイトの「手持ち無沙汰になるので何かほかにも置いて欲しい」という要望から。
最初はチーズケーキなども販売していたそうですが、手間や値段のことを考えて目をつけたのがなんと駄菓子。
お店の周辺には小学校が3つもあり、ヒカリ珈琲に駄菓子があるという噂は子どもたちを伝って瞬く間に拡散。
カウンターの隅に小さく並べていた駄菓子も、現在ではコーヒー豆の置き場を圧迫するほどに。
「でも最初は大人の理解を得るのが大変でした。子どもたちが群がりだしたということでみんな不安だったんでしょうね。全校集会で『ヒカリ珈琲には出入りしないように』と言われたこともありました」
懐かしそうに苦笑いする表西さん。
土日は家族連れ、
平日は学校が終わる夕方から広い店内の席がすべて埋まってしまうほどの大盛況。
順風満帆に見えるヒカリ珈琲さんですが、駄菓子を取り扱い始めた頃は、親御さん、学校の先生、PTAなど、地域の方からの目は決して温かいものではなかったそうです。
もちろん今は何の問題もありません。
表西さんの地道な努力が実り、一緒になって駄菓子を買いに来たり、コーヒーを飲みに来たりしているそうです。
理解できないものに懐疑的になるのはみんな同じ。
でも、受け入れてもらえて本当に良かったです。
コーヒーと駄菓子を軸にしつつ、形を変えながら末長く愛されるお店に
お話を聞かせていただいているあいだに、お子さん連れのお客さんがやってきました。
駄菓子を買って帰るのかなと思いきや、おもちゃのピストルを壁に向かって発射。
よく見ると、壁には的がかかってあり、射的が楽しめるようになっています。
ちなみにヒカリ珈琲の射的はハズレなし。最終的には何かがもらえる優しい仕組みになっています。
「お祭りの出店からヒントを得て、射的をできるようにしたんです」
駄菓子を置いたのも、射的を始めたのも、まわりからの要望があったからこそだと表西さんは言います。
これからも柔軟に形を変えながら、ずっと足を運んでもらえるような店でありたいと目標を語ってくれました。
現在はカフェと駄菓子以外に夜の18時以降は店舗をレンタルスペースとしても貸し出していて、イベントや集会にも使ってもらっているとのこと。
理解を得られなかった頃が懐かしく思えますね。
今やヒカリ珈琲は地域の方にとって欠かすことのできない大切な場所です。
コーヒーや駄菓子に込められたこだわりが面白い!
表西さんはコーヒーだけでなく、駄菓子の知識や販売ノウハウについて非常に明るい方でした。
『串カステラ』が現在は3人のお弟子さんに受け継がれて製造されていることや、店内の駄菓子は当サイトでも以前取材させていただいた駄菓子問屋「藤田商店」さんが豊中まで届けてくれていることなど、驚きを隠せない話題がたっぷりでした。
とくに大阪では超老舗の藤田商店さんが店舗まで納品されるというエピソードは、ヒカリ珈琲さんの底知れぬポテンシャルを感じました。
次に足を運んだ時は「また新しいお話が聞けるのでは?」そんな気持ちにさせてくれるお店でした。
基本情報 |
つい足を運びたくなる不思議な空間ね。美味しそうな珈琲に駄菓子に射的まで、みんなに愛される場所だわ!
貝田孝一
最新記事 by 貝田孝一 (全て見る)
- ワクワクする気持ちは不変!駄菓子問屋「平安企業組合 吉田屋」〜京都市・西京区〜 - 2020年1月5日
- 路面電車が残るレトロな町の駄菓子屋さん「フルーレ伊賀屋」〜大阪市・天下茶屋〜 - 2019年12月25日
- 新しいと懐かしい!10周年を迎えた「駄菓子屋みのちゃん」〜大阪府・茨木市〜 - 2019年12月21日