中崎町の奥地に、緑色の看板を掲げる駄菓子屋さんが存在する。
その名も、趣味の店「ホリイケ」。
此処、大阪北区にある中崎町周辺は、大阪の昔ながらの街並みが色濃く残る地域だ。
古い建物を活かしたお洒落なカフェや古着屋などが軒を連ねており、今や若者や観光客、クリエイターにも人気のスポットとなっている。
そんな中崎町の一角で駄菓子屋の店主をされているのは、物腰柔らかで笑顔が素敵なお母さん。
現在お店はお一人で切り盛りされているという。
お母さんがお店を開け始めるのは、15時を少し過ぎた頃。
お店の軒先に椅子を並べ始める。
近くには小学校があり、15時半頃には学校帰りの子供達が集まってくるそうだ。
誰もが愛する駄菓子屋・趣味の店ホリイケ
この机と椅子は、廃校になった西部小学校から譲り受けたという。
年季の入り方がなんとも味わい深い。
子供達はここで勉強を教えあったり、買った駄菓子を食べながらお喋りしたりしているのだとか。
地域の子供達の憩いの場となっているようだ。
お母さんは、時にはそんな子供達の相談も聞くこともあるのだという。
「最近の子供達はハッキリしていますよ。」
そう言って目を細めて笑うお母さん。
長年、このお店で子供達を見守ってきたからこそ出てくる言葉である。
そして全国駄菓子屋巡りとして見逃せない肝心の駄菓子コーナーもご覧の通り大充実。
定番の駄菓子は勿論、見た事の無い駄菓子もちらほら……。
そして、なんと冷蔵庫まで完備されている。
正直、わたしが子供なら勉強どころではないだろう。
ちなみに「趣味の店」と看板を掲げているが、店内には駄菓子以外のモノもズラッと並ぶ。
可愛い文房具やオモチャなど、いずれも子供が喜びそうなモノばかりだ。
この日もお店を開けて20分もしないうちに、あっという間に店内はいっぱいに。
お店には常連さんも多いようだが、通りすがりの人や観光客も多く見られる。
思わずふらりと立ち寄ってしまう魅力がどうやらこの店にはあるらしい。
趣味の店「ホリイケ」に立ち寄れば、中崎町の町歩きがより楽しいものになることは間違いない。
優しさが駄菓子の買い物をもっと楽しく・温かく
駄菓子屋のメーカーの営業さんやふらっと立ち寄ったお客さん―。
お母さんは誰とでも分け隔てなく、ニコニコと非常に楽しそうにお話をされる。
きっとそのお母さんと交わす笑顔が、一人一人の「駄菓子を買う」という体験をさらに楽しいものにしているのだろう。
そこに、3~4歳ぐらいだろうか。
お母さんに手をひかれた小さな女の子がやってくる。
「こんにちは。おかえりなさい。」と優しく声をかけるお母さん。
何とも微笑ましい光景。
「ウサギさんとクマさん、どっちがいいかな?」
駄菓子を選び終わった女の子に袋の種類を尋ねるお母さん。
どうやらホリイケでは、購入した駄菓子を入れる袋に種類があるようだ。
ウサギさんを選んだ女の子、その手を引く女の子の母親も、とても嬉しそうにニコニコしている。
趣味の店「ホリイケ」には、中崎町で最も優しい世界が広がっていた。
「うさぎさんとクマさんと、色んな袋があるけどどの袋が良い?」
同じく会計をしようとしたわたしに、先ほどの子供と同じように袋の種類を聞いてくださるお母さん。
アラサーのわたしが普段会計で尋ねられるのは、せいぜい袋の有無ぐらいだろう。
なんだか妙に嬉しくて、さっきの女の子と同じぐらい笑顔になっている自分に気がついた。
最後に取材のお礼を言うと、「写真の写りが悪かったら、また撮り直しに来てね。」とおちゃめに見送ってくれた。
「ホリイケ」のお母さんがくれる優しいコミュニケーションは、本当に、ジンワリと心に染みる。
みんなから愛されているものには、きっと理由がある。
お店に足を運んで、お母さんの人柄に触れて、わたしにはそれが感じられた。
帰り道、うさぎさんの袋からゴソゴソと駄菓子をひとつ引っ張り出しては口に放り込む。
食べ慣れたいつもの味が一際美味しく感じられたのは、多分気のせいなんかじゃない。
基本情報 住所:〒530-0015 大阪府大阪市北区中崎西1丁目9−11 電話番号: 06-6371-9225 営業時間:15:00〜18:00頃(不定時)
誰もが笑顔になるお店。こういう場所がいつの時代にも必要よね!
右ききのユキ
最新記事 by 右ききのユキ (全て見る)
- 大阪の駄菓子屋・趣味の店「ホリイケ」から広がる中崎町一優しい世界 - 2019年9月4日
- 大人の放課後しようぜ!放課後駄菓子バー「A-55」の魅力 - 2019年6月5日