【埼玉県所沢市】駄菓子屋セサミ・受け継がれるワクワク空間

埼玉県

埼玉県所沢市といえば、西武ライオンズのおひざ元。

2020年はライオンズ命名70周年という記念の年。

西武鉄道では中西太、稲尾和久、東尾修など往年の名選手や現役選手が描かれたラッピング電車が走ったり、西武池袋駅、所沢駅、西武球場前駅には70周年記念をテーマにした装飾がされるなど、沿線はライオンズ一色です。

そんな所沢市にあって、子どもたちから親しまれている駄菓子屋さんがあります。

それが今回、ご紹介する「駄菓子屋セサミ」です。

店長は山田美智さん。

山田さんは2019年8月に、前任の池上姉弟から経営を引き継ぐ形で二代目の店長に就任。

そのあたりの事情を含め、お話をうかがいました。

暖簾をくぐる女性
▲常連の子どもたちにはお母さんのように慕われている店主の山田さん。ご自身も二人の子どもを持つお母さんです。
正面に自販機がある家
▲普通の民家のような店舗。昔はパン屋さんだったそうです。
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子どもたちがワクワクする空間に

信号と車
▲所沢と川越を結ぶ川越所沢線の松井小学校入口の交差点から少々歩いた住宅街の一角にあります。

「駄菓子屋セサミ」は、2017年に所沢市上安松にオープン。

所謂長い歴史がある古き良き駄菓子屋ではありませんが、その佇まいには、昭和の駄菓子屋さんが持つ懐かしくも優しい匂いが感じられます。

場所は所沢と川越を結ぶ川越所沢線の松井小学校入口の交差点から少々歩いた道路沿いにあり、所沢からバスを利用するか、その手前の秋津から15分ほど歩くと到着します。

ただし駐車スペースは有るので、車で訪れることもできます。

子どもたちの間では「セサミ」と呼ばれているそうですが、正式店名は「オープンセサミ」。

アラビアンナイトの『アリババと40人の盗賊』でおなじみの合言葉が、その由来です。

「子どもたちにとって、駄菓子屋は宝の山であってほしいという願いが込められています」
というのは、二代目店長の山田さん。

「もともと池上のお姉さんと友人で、こちらにも子どもを連れて何度も足を運んでいたのですが、あるとき『お店を閉めるかもしれない』と聞き、せっかくの子どもたちの居場所がなくなるのは寂しい、と思い経営を受け継ぎたいと手を挙げました」と、二代目店長になった経緯を話してくれました。

綺麗に並べられたお菓子
▲足元から天井まで、一見すると乱雑に見える商品の陳列も、「宝探し感覚で自分好みの商品を探してほしい」という遊び心から。

「基本的には、池上姉弟時代から同じですが、”子どもたちがワクワクするような空間にしたい”と思っていました。」

それは商品の陳列方法にも表れています。

売れ筋の商品をレジ前や子どもの視線の位置に陳列するのが一般的ですが、こちらは足元から天井に届くようなところまで陳列。

ディスカウントストアの「ドン.キホーテ」のような感じです。

「子どもたちに宝探し感覚で、好きな駄菓子を探してもらいたいから、一見すると乱雑に陳列し、商品の陳列場所もちょくちょく変更しています」

同店では、
「おばちゃん、オレの好きな〇〇〇、ないよ」
「あるわよ、よく探してごらん」

といったやりとりが繰り広げられていると思うと、思わず微笑んでしいました。

無人の野菜売り場
▲お店の近くには野菜の無人販売機もあり、のどかな雰囲気です。
地蔵さんが祀られている祠
▲お店の斜め正面には「原の地蔵尊」と呼ばれるお地蔵様が奉られている祠が。
駐車場にあるうどん屋さん
▲川越所沢線の沿線には、埼玉県民にはなじみの「山田うどん」。こちらが1号店なんだそうです。

「お小遣いがなくても、顔だけでも見せて」と声掛け

練馬区南大泉で子ども時代を過ごした山田さん。

当時は毎日のように地元の駄菓子屋に通った駄菓子屋っ子だったという。

「駄菓子屋は子どもの社交場でもあり、小さいながらコミュニティです。そこで年上の子は、年下の子を面倒見たり、年下の子は、年上の子にいろいろなことを教わります。それは今も変わらないと思います」

小学校の低学年生にとって、5、6年生はずいぶん大人に見えたし、いたずらや悪ふざけが過ぎると、 駄菓子屋のおじちゃん、おばちゃんに叱られたものです。

駄菓子屋のおじちゃん、おばちゃんは、子どもたちにとっては、“怖い大人”という一面がありました。

山田さんご自身も、そのあたりは意識しているそうです。

「騒ぎすぎるときや、店前で走り回って車道に飛び出しそうな時は叱ります。ゴミを片付けない子は、そのゴミを保管して、次に来たとき『はい、忘れ物』って言って手渡したこともあります」

綺麗に陳列されたお菓子
「子どもたちが計算しやすいように」と商品はすべて消費税込の価格。

同年代の子どもを持つ山田さんだけに、子どもたちにはときには厳しく接することが必要なことを身を持って知っているのでしょう。

「お小遣いが少なくなって、『お小遣いをもらったら、また来るね』『お手伝いして、お駄賃をもらうまで、待っててね』という子どもには、買わなくてもいいから、顔だけでも見せてね、と声をかけています」と微笑む山田さんは、まるで子どもたちのお母さんのようです。

昔の子どもは50円、100円玉を握りしめていたけど、今は・・・

▲飴やお菓子は大袋で購入して1個単位で販売することも。この方が少しだけ仕入れ値を抑えることができるそうです。

メインのお客は近所の松井小に通う子どもたちですが、牛沼小、安松小の子どもも顔を出すそうです。

筆者の子ども時代は、通う学校ごとに、ひいきの駄菓子屋がなんとなく決まっていて、違う駄菓子屋に行くのは勇気が必要だったものですが・・・。

「それは今でも同じ。特に女の子はその傾向が強いですね。松井小の子どもたちが来ると、それまで友だち同士で元気よく喋っていた他校のグループが、急に大人しくなるというシーンはよく見かけます」

その一方で、昔とは違う点もあるそうです。

「私たちの時代は50円玉、100円玉を握りしめて駄菓子屋に行ったものですが、今の子はほとんどが財布を持っています。しかも大人が持つような立派な長財布の子もいます」

昭和の小学生は、財布を持っていたとしても小銭入れがせいぜいで、長財布を持っている子どもは、ほとんどいなかったと思います。

このあたりは時代の差といったところでしょうか。

駄菓子屋は、私にとっても生きがいに

人気の駄菓子は「ブタメン」「サッカースクラッチ」「そのまんまソーダ」など定番がラインアップ。

クジものは全般的に人気が高いそうです。

そのため、当選確率100%のハズレ無し、オリジナルの「セサミクジ(50円)」を目当てに来店する子も多いとか。

それに反して、昭和の頃は定番だった「すもも」などのスッパイ系駄菓子は、今の子どもたちには敬遠されがちなのだとか。

駄菓子だけでなく、オリジナルメニューも充実しているのも同店の特長です。

駄菓子の大判たこせんべいにたこ焼きをのせて、マヨネーズとソースをかけた「たこせん」(100)やチョコレートソースとストロベリーソース、キャラメルソース等から選べる「セサミパフェ」(100)の人気も高いそう。

最後に、今後の抱負をおうかがいしたところ、「私にとっても、この店が生きがいになっています。せっかくお店を受け継いだのですから、子どもたちのためにも、また自分のためにも一日でも長く続けたいです」と、山田さんは元気な声で答えてくれました。

これから先も、子どもたちにとって宝の山のようにワクワクする空間として続いてくれることを祈ってます。

おせんべいの上に乗ったたこやき
▲オリジナルの「たこせん」はワンコインの100円
ピンク色の飴のパッケージ
▲お菓子の袋をリメイクして小物入れなどのハンドメイド商品は、以前、この店を経営していた池上姉弟のお姉さんの作品。
【基本情報】
駄菓子屋セサミ(オープンセサミ)
*住所:〒359-0025 埼玉県所沢市上安松891-1
*営業時間:14:00~18:00
                  14:00〜17:30(10月から2月頃まで)
*定休日:日、祝
*電話番号:090-8594-2242(営業時間等についてはお気軽にお問い合わせください、とのことです)

子どもたちにとっても大切なつながりの場所なのね!オリジナル商品も素敵!

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松野孝

松野孝

胆石持ちのフリーライター。企業ネタをはじめ健康ネタから街ネタまで幅広くカバー。結婚しないキャラで通してきたが、最近ではすっかり「結婚できない」キャラに変貌。
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