「無人島に何か一つだけ持っていけるとしたら何がいい?」
小学校から大学、会社に同窓会に合コン、人生のあらゆる場所で、きっと誰もが一度は聞かれたことがあるお題ではなかろうか。
ある人は本気で無人島サバイブするためにガチで考えてみたり、ある人はちょっとウケを狙ってみたり、様々なアイデアが飛び交うのだが、僕に言わせれば全てがてんで的外れ。
「やっぱナイフでしょ!」
とりあえずあれば良いと思ってるんだろうけど、具体的な用途は思いつくの?
「スマホで助けを呼ぶ!」
電話がつながる保証がどこにあるのだろうか。
「ライターで火をおこす!」
火だけあってもねぇ
「連れて行くならお前かなぁ」
好き。
皆さんは今のままでは無人島に漂流した時、確実に命を落とすことになる。
そんな皆さんに僕が「正解」を伝え、この論争に終止符を打ちたい。
無人島で生き残るために持っていくべきたった一つのアイテム、それは
「駄菓子」だ。
駄菓子メディアの編集長だから駄菓子を贔屓し、虚言を吐いていると思われるかもしれない。
しかし、無人島サバイバルには駄菓子が不可決であることを証明してくれる作品がある。
それが、
スタジオコロリドによる『ペンギン・ハイウェイ』『泣きたい私は猫をかぶる』に続く長編アニメーション第3弾『雨を告げる漂流団地』がNetflixで全世界独占配信中&全国の劇場で公開中だ。
あらすじは以下の通り。
まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。 泣いたりケンカしたり、仲直りしたり? |
本作の主人公であり幼馴染でもある小学生の航祐と夏芽、及びその友人たち3名と謎多き少年・のっぽを中心に物語は進む。
航祐と夏芽がかつて住んでいた団地を訪れたところ不思議な現象が起き、気づいたら団地がまるごと大海原に漂流していた、というのが全ての始まりだ。
と文章で説明されてもイメージが湧かないと思うが、つまりこんな感じ↓。
なぜいきなり団地ごと海に漂流してしまったのか、サバイバル生活の中で彼らがどんな困難に直面するのか、謎多き少年・のっぽの正体は・・・
とにかく冒頭から謎の多い本作なのだが、詳細は本編を劇場もしくはNetflixでご視聴いただくとして、大事なのは小学生たちのサバイバル生活に駄菓子がよく出てくること。
夏芽が団地に備蓄していたブタメンを食べながら漂流生活を送り、元いた場所に戻る方法をみんなで探るのが本作の大筋なのだが、僕は駄菓子が持つ「非常食」としてのポテンシャルに大変感動した。
そこで本記事では、本映画の宣伝にかこつけ、
「無人島に持っていくべきサバイバル駄菓子」
を一挙紹介させていただきたい。
3つの駄菓子屋さんの知見をお借りする
さて、サバイバル駄菓子を紹介すると言っても、残念ながら僕は駄菓子の専門家ではない。
そこで、今回は日頃大変お世話になっている3つの駄菓子屋さんにお邪魔し、サバイバルに強い駄菓子を一緒に考えていただいた。
駄菓子界の最前線で活躍されてい紛れもないプロたちが選んだ駄菓子なので、近々無人島に置き去りにされる予定がある方は今すぐ駄菓子屋さんに駆け込み、ありったけの量を調達してほしい。
駄菓子屋の皆さん、突然の
「サバイバルに良い駄菓子って何かあります?」
に快く応じてくださりありがとうございました。
西東京市「ヤギサワベース」が選ぶサバイバル駄菓子
最初にお邪魔したのは東京都西東京市にお店を構える「ヤギサワベース」さん。
広々とした店内にぎっしりと駄菓子が並び、奥にはレトロゲームも設置されている。
お店の更に奥には椅子とテーブル付きの広々スペースが有り、ここで子どもたちはゲームをしたり語り合ったりと思い思いの時間を過ごしている。
早速、店主・中村さんに店内を歩き回りながら、サバイバルに強い駄菓子を幾つかご紹介いただいた。
中村さんがポイントとして挙げられていたのは、
- 栄養価が高いこと
- 日持ちすること
の二点。
この観点で駄菓子を探していくと、
糖分だけでなく塩分も補給できる塩ようかん。
ここで購入させていただいて初めて食べたけれど、しっかり塩味がきいてて美味い。
以降、駄菓子屋取材時には必ず購入するレギュラー入り。
麩菓子と違って中までぎっしり詰まっているので、腹持ちが良い。
ガムなので、当然飲み込めないが噛み続けることで満腹中枢を刺激してくれる。
続いてこちらがお米を原材料とした「にんじん」。
賞味期限が製造から180日と長持ちするため、無人島生活が長引きそうな時に重宝しそう。
きびだんごも噛みごたえがあり、しっかり腹持ちする。
更に、駄菓子だけでなくサバイバルに強い「駄玩具」もご紹介いただいた。
後ろにチョコが入っている駄玩具兼駄菓子の「コンパスチョコ2」。
1からどう進化したんだろう
方位磁石としての機能を持つため、無人島で方向感覚を失わずにすむ。
ゴム製の光る指輪。
夜間、自分がいる無人島の近くをヘリや船が通りがかった時、これを指に付けて手を振り続ければ気づいて救助に来てくれるかもしれない。
ちなみにこれ、写真では伝わらず申し訳ないのだが、すっごく明るい。
帰り道これ付けながら歩いてたらすっごい見られた。
ヤギサワベースさん、ありがとうございました!
【ヤギサワベース基本情報】 ■営業時間 日曜日 月・火 祝日 |
出張駄菓子屋「まはろはな」が選ぶサバイバル駄菓子
続いてお邪魔したのは、出張型駄菓子屋の「まはろはな」さん。
まはろはなさんは元々東京の新御徒町にお店を構えていたのだが、訳あって閉店。
その後は出張型の駄菓子屋さんとして、長野県の下諏訪町を拠点に、東京でも月一ペースでお店を開かれている。
本企画のご協力をお願いしたなんと3日後に、東京の入谷にある銭湯でお店を開くとのことだったので、すかさず訪問。
サバイバルに強い駄菓子をお伺いした。
まずは最近プチ流行りしているラムネ。
脳の働きを正常化させる上で欠かせないブドウ糖を含んでいるため、無人島でこれを食べて冷静な思考力を取り戻し、今後のサバイバル作戦を練りたいところ。
続いてペペロンチーノ。
劇中に出てくるのはブタメンだが、個人的には汁有りでも無しでも食べられるこちらの方が飽きが来なくていいかなーと思ったり。
ブタメンと並んでサバイバル生活の主食して重宝される駄菓子であることは間違いない。
次のサバイバル駄菓子を探そうとしたところ、ふと店主からこんな一言が。
「駄菓子を食べて生き延びるんじゃなくて。駄菓子を使うのも良いんじゃない?
駄菓子を”使う”ですか・・・?
「そう。駄菓子を餌にして魚を釣ったり!」
なるほど、完全に盲点だった。
確かに駄菓子だけでお腹いっぱいになるのは難しいが、駄菓子で大物が釣れれば食料調達がグッと楽になる。
単体でも食せるし、さらなる食料を呼び込む餌にもなれる。
駄菓子のポテンシャルたるや、すさまじい。
ということで、早速餌になりそうな駄菓子を探してみることに。
まずは蒲焼きさん太郎。
普通に食しても歯ごたえがあって食料としては申し分ないが、原材料は魚肉のすり身であるため、海の魚を呼び寄せることも十分にできるはず。
蒲焼さん太郎を餌に、巨大マグロさん太郎を釣り上げたいところだ。
昆布はサイズ的に大物は狙えそうにないが、小魚くらいであればゲットできそう。
まはろはなさん、突然の訪問にも関わらずありがとうございました。
【まはろはな基本情報】 出張型のため、詳しい予定はInstagramを参照 https://www.instagram.com/mahalohana.2o16.o4o9/ https://www.instagram.com/engawamahalo/ |
東久留米市「だがしやかなん」が選ぶサバイバル駄菓子
最後にお邪魔したのは東京・東久留米市にお店を構える「だがしやかなん」さん。
店主・山永和子さんは駄菓子屋さんの営業だけでなく、学校に行けない子どもたちの居場所(フリースクール)を提供したり、食堂を開いて子どもたちと料理をしたりと、多方面で活躍されている。
だがしやかなんには老若男女がひっきりなしに訪れ、山永さんが仰るまさに「多世代交流の場」となっている。
さて、そんな山永さんに本企画の説明をしたところ、なんとずっと前から「駄菓子を使った非常食料理」を作られてきたとのこと。
だがしやかなんは災害時に子どもたちが過ごせる避難場所としての顔も持ち、そのような状況下において、子どもたちが温かい料理でホッとした気持ちになれるよう、駄菓子を使った料理を数々生み出してきた。
無人島でも火さえ手に入れば、駄菓子を使って様々な料理を生み出せる。
まはろはなさんご提案の「駄菓子を使って食料を獲得する」というアイデアも斬新だったが、だがしやかなさんの「駄菓子を使って新しい料理を生み出す」アイデアも、駄菓子の新しい可能性を引き出している。
だがしやかなんさん、ありがとうございました!
【だがしやかなん基本情報】 ■住所 〒203-0052 東京都東久留米市幸町1-5-23 西武池袋線東久留米駅より徒歩約15分 ■営業時間 |
漂流生活も駄菓子があれば大丈夫
栄養価の高い駄菓子、日持ちする駄菓子、サバイバル生活を助けてくれる駄玩具、魚の餌になれる駄菓子、料理の材料になる駄菓子。
今回は3つの駄菓子屋さんにお邪魔させていただいたが、サバイバル駄菓子に対する考え方が三者三様で、取材しながら今すぐ無人島に置き去りにされたいくらいワクワクした。
流石にそれはウソ。東京最高。
実際、無人島に一人漂流するというシチュエーション自体はあまり現実的ではない。
しかし、例えば
- 登山
- あまり人がいないところでのキャンプ
- 長い船旅
といった、大自然の危険にさらされる予定がある方は今回紹介した駄菓子を持っていくと、万が一の時に命を救われるかもしれない。
さて、話は戻って映画「雨を告げる漂流団地」、本企画に携わるにあたり先行視聴する機会をいただいたのが、普通に泣いた。もうすごい泣いた。
詳細は明かせないが、小学6年生の少年少女たちが、大人でも諦めるくらい絶望的な状況に置かれても必死に前を向いて生きようとする健気さ。
時に団結し、時にぶつかり、それでもまた最後には団結する友情の熱さ。
自分の気持ちを素直に相手に伝えられない情けなさともどかしさ。
時にせつなくもあり、もう全シーンが尊すぎて、3回泣いた。
今風に言うと超エモい。
登場人物たちが眩しすぎて大人は直視できないかもしれないが、ぜひ劇場もしくはNetflixでご視聴いただきたい。
そして観た人は感想を俺と語り合おうぜ!
映画「雨を告げる漂流団地」公式サイトはこちら
https://www.hyoryu-danchi.com/
今野 隆吾
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