懐かしい車というと、カクカクした昔ながらのカタチの車を思い浮かべるかもしれません。
しかしそこまで古い車でなくとも、最近あまり見かけなくなった車は多くあります。
たとえ製造終了していたとしても、愛され続けていれば、想いは受け継がれていくものです。
そこで、その車を見ると当時元気よく走行していた情景がフッと蘇る、懐かしい車を紹介します。
マツダ 初代ロードスター(ユーノスロードスター)
多くのファンを持つ、マツダのロードスター。
ライトウェイトスポーツカーの2シーター・オープンカーです。
毎年行われる軽井沢ミーティングには、全国各地からロードスター乗りが集まります。
バリバリ現役のこの車に対して、「懐かしい」などと言っては怒られそうですが、初代につくらたNA型のロードスターを街中で見かけることは少なくなりました。
しかし「NAをずっと乗り続けたい」というNAファンはたくさんいて、その熱意と「長く愛されてきたクルマを愛でる文化を育てたい」というマツダの情熱から、2017年12月13日からレストア事業が始まったのです。
レストアとは、経年劣化した車を新車のような状態に戻すことです。
とはいえ現実的な問題として、対象者の制約やメニューに限りがあるなど、すべての車に100パーセント新品同様にできるわけではありません。
それでも「NA、懐かしいな。また乗りたいな」と思っている世代には、涙が出るほど嬉しい情報といえます。
ではここまで人気のNAロードスターとは、一体、どのような車なのでしょうか。
ロードスター・NAの魅力
バブル期の1989年に、初代ロードスターは誕生しました。
当時はマツダ色を極力消すという戦略をとっていたため、「ユーノス」という販売チャンネルで生まれたのです。
そのため初代ロードスターはマツダロードスターとは言わず、ユーノスロードスター。
乗ってみるとカーブをクイッと曲がる感覚。
レスポンスの良さ、そして爽快なエンジン音。
自分の体の一部のように、走ってくれる感覚が得られ運転しがいのある一台です。
私はロードスターを乗ることで走ることの歓びを知りました。
そこでネットで見つけたロードスターの会に入り、毎週のように走りに行くようになったのです。
走るといっても暴走行為をするのではなく、ツーリングを楽しんでいたのですが、さまざまな車との出会いもありました。
しかしその多くの車がもう製造終了となり、街中で見かけることは非常に少なくなりました。
車好きとしては、少し寂しい気分になりますね。
日産「シルビア」
2002年に製造終了された日産シルビア。
1965年に初代シルビアが発売されて以降、幾度となくモデルチェンジを繰り返してきました。
ターボエンジンの後輪駆動車で軽量な車体が魅力の車です。
なかでも5代目のシルビア「S13型」は、峠などを走る走り屋などにも人気を得ました。
足回りのパーツが豊富に合ったためチューニングベース車として、自分の車を自分流にいじりたい人にも喜ばれたのです。
また1989年には、「180SX」が登場。
ハッチバックモデルで、エンジンはCA18DETのみ。
走りに振った仕様でした。
ハッチバックのため、S13型やS15型よりもスポーティに見え、私はこのシリーズの中では好きな車でしたね。
ホンダ インテグラ
2006年で生産終了した、ホンダの車です。
クーペモデルはスポーツカー好きにも人気でした。
とくにハイパフォーマンスモデルの「タイプR」は車好きにも好評で、ホンダの「シビック」と人気を分ける存在でした。
とはいえインテグラタイプRも、発売時期により形が進化していっています。
初代インテグラ タイプRは、200馬力でレカロ製スポーツセミバケットシートが標準装備されていました。
2代目インテグラタイプRは、初代と比べて丸みを帯びたつくりでボディサイズも大きくなりました。そのため2代目タイプRには、ブレンボ製ブレーキキャリパーが搭載され、トランスミッションは5速MTから6速MTに進化しています。
始めて乗った際は、加速する感覚が少々怖かったのですが、慣れると気にならなくなったのを覚えています。
ユーノスコスモ
またマツダ系統の車かと思われそうですが、クーペの頂点を目指して生まれたユーノスコスモも、私にとっては懐かしい車のひとつです。
バブル期の時代だからこそ生まれた、ラグジュアリーなつくりが魅力的で、全長4820mm×全幅1800mmと大きめなボディだが、上品なラインをしています。しかもその奥には、3ローター・ロータリーエンジンが潜んでいるのです。
さらに内装がセクシー!
本革シートで、イタリア・シンプレス工房製のウッドパネルがインパネに使われ、見るからに上質さが漂っています。
私はよく助手席に乗せてもらったのですが、ユーノスコスモのトランスミッションはATしかないので、MT車乗りの私には、坂道を下る際にシフトにあるボタンを押す作業が不思議でたまりませんでした。
所有者はその車をとても大事にしていて、さまざまなパーツを所有し、頻繁に車をいじっていた様子。
しかし結婚して子どもができて、車を手放しました。
その人は、今、ユーノスコスモを見てどのような感情を抱くのでしょうか
愛車との別れとは
愛車との別れの理由は、さまざまです。
なかでも生活環境の変化で愛車を手放す人は多いようです。私もその中の一人でした。
多くの車好きでそうであるように、私も愛車を購入してからは車が日常にある生活を送ってきました。
そうすると同じような仲間が増えていき、その頃の自分は「車を手放す未来」なんて永遠にないと信じていたものです。
「維持するのが大変なんだよ」と言われても、実際にその立場にならないと身に染みてわからないモノなんですよね。
だから私は何も考えずに、走り、車と共に過ごしていました。
たとえば哀しい事があると海沿いの道を走り、深夜のファミレスでぼんやりしました。
たくさんの知り合いと出会い、いろいろな美しい景色が私のまわりを通り過ぎていきました。
すべて愛車が運んでくれたものだったのです。
そう気づくのは、手放して「懐かしいな」と感じた今になってからです。
愛車と同じ車種の車を見ると、未だににやけてしまいます。
「あの頃の自分」がふつふつと大きくなり、当時の感情がせりあがってくるのです。
自分にとって特別であればあるほど、気持ちのふり幅も大きくなるのかもしれません。
あなたの「懐かしい」は、何ですか?
懐かしい思い出がいくつもあると、それだけで笑顔の数が増えていきそうです。
夏野久万
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