大阪キタエリア梅田のとある一角に、なんとも異色な存在感を放つバーが存在する。
数々のメディアにも取り上げられているこのバーは、一度足を踏み入れたが最後、人々はその空間の圧倒的魅力に取り憑かれてしまうという。
そのバーは雑居ビルの4階にひっそりと、その異次元への入り口を構えていた……!
改めまして、駄菓子好きのみなさんコンニチハ!
わさびのり太郎をこよなく愛する女、右ききのユキです。
今回わたしが取材で向かった店の名は放課後駄菓子バー「A-55」。
このお店、とにかくスゴイんです……!一体、何がって?
とにかく!まずはこちらの写真をご覧いただきたい。
い、一体、何なんだコレは……!?!?(失礼)
とにかく物の量がカオス。こんまりさんも困惑するレベル。
年代モノで埋め尽くされた店内は、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさだ。
そして注目すべきはその物の多さだけでは無い。
壁面から!天井から!ありとあらゆる方面から!!!
我々の懐古という感情をガンガンに揺さぶってくるのである……!!!!!
ふと、天井を見上げるとデカデカとこんな文字が。
そう、ZONEの「secret base〜君がくれたもの〜」だ。
この曲中の歌詞に出てくる『10年後の8月』に、このA-55はオープンしたとのこと。
ふ、深い……。
そして壁や天井のみならず、机の上もご覧の通り……!
まさに懐かしさの大洪水。
もはや自分の世代でないものですら懐かしい気がしてくる。(錯覚)
どうしてだろう、泣ける。泣けてしまう。
僕らが遠の昔に失ったハズの放課後が、間違いなくそこにはあった。
ここまで読んで、
「いや、駄菓子全然関係ないやんけっ!!!!!」
とか思われた皆さん……大変お待たせいたしました。
コレがA-55が世界に誇る駄菓子コーナーである!
スペースはぎゅっとコンパクトにまとまっているが、ものすごい種類の駄菓子が用意されている。
しかもこの駄菓子達、なんとチャージ料500円(/1h)のみで全員食べ放題になるというから驚きだ。
店長の田中さんに詳しくお話を伺った。
「このA-55というお店の名前は、『アフター5へGO!』という意味に由来しているんですよ。
仕事終わりに秘密基地に行って、みんなでワイワイ遊ぼうぜ!という意味が込められているんです。
お酒という大人の楽しみと駄菓子という子供の楽しみを掛け合わせて、大人の放課後を満喫する……そんな秘密基地のような、友達の家のような場所を作りたかったんです。」
A-55グループは日本駄菓子協会として、震災後の熊本の被災地に駄菓子を寄付したこともあるそうだ。
泣き喚いていた子ども達が駄菓子に大喜びし、その姿を見た大人達も安心するーーそんな姿を目の当たりにして、「駄菓子自体に、人を喜ばせる力、人を笑顔にする力がある。」という事実を改めて実感したという。
取り扱う駄菓子については「かなり種類は多いんじゃないかな。」と語る店長。
ホームページには100種類と掲載しているが、味ごとなどに数えるとなんと実際は200種類ほどあるそうだ。
ちなみに田中店長は「おにぎりせんべい」、いおりさんは「蒲焼さん太郎」が好きな駄菓子であるとのこと。
ちなみにお客さんには、キャベツ太郎とうまい棒のめんたいこ味が人気だそう。
それにしても、駄菓子食べ放題だなんてガキンチョの頃の夢をこんなにも簡単にドリームカムトゥルーしちゃってもいいのだろうか。
駄菓子の値上がりも懸念される中、果たしてキチンと採算はとれているのだろうか……そんな不安すら筆者の胸をかすめた。
しかしながら、食べ放題を経てもなお、持ち帰りを希望されるお客様も多いようで、お客様のご要望に応えるべく、駄菓子の定価販売も行っているそう。
ちなみにこちらの駄菓子ゾーン、ゆくゆくは更なる増設も検討されているとのこと。
駄菓子ファンとしては、思わず期待に胸が膨らむ。
駄菓子以外のフードメニューも充実しており、揚げパンやミルクせんべいといった昔懐かしのメニューが人気だそうだ。
また、バースデープランでは、なんとお菓子の家でサプライズが出来ちゃうのだとか……!!
こちらは1日に2~3件予約が入ることも多い人気プランとのこと。
記憶に残るお誕生日になることは間違いない。
「楽しい!面白い!懐かしい!」という感情をこの空間で味わっていただけたら、と語る田中店長。
20~30代をターゲットに据え、新しい世代のものも少しずつ取り入れながら、店内は常にアップデートを繰り返されている。
だからこそ、どの世代の人達も「俺らの時代だ~!!」と懐かしさを感じる仕組みになっているようだ。
「来た人に全力で楽しんで貰うために、全力で色んなモノを置いているという感じです。」
そのサービス精神旺盛っぷりは留まるところを知らない。
今後このお店をどうしていきたいか?という質問に対しては、
「みんなが楽しめるお店にしていきたい。」と語る。
お客さん同士で盛り上がって楽しめるように、普段お客さんとの距離はあまり詰めすぎないようにしているというという田中店長。
しかし、お客さんの間で出た些細な一言を彼は聞き逃さない。
お客さんの話題に上がっているアイテムをそっとテーブルに差し出したりするそうだ。
それを見たお客さんが「えー!これこれ!懐かしい!!!」とまた盛り上がる……まさに気配りの人である。
また、一方ではお店とお客さんとの交流の場もバッチリ設けられている。
お客さんが書いた絵日記には、スタッフさんが赤ペンで丸をつけたり、コメントをしたりしているそうだ。
前回書いた絵日記へのコメントを楽しみに再来店されるお客様も多いようで、歴代の絵日記も全て保管してあるのだとか。愛ですな。
そんな付かず離れずな気遣いのある接客こそが、この空間そのものを誰もが心地良く感じる理由のひとつなのかもしれない。
リピーターや紹介、口コミによる来店がとても多いというのも納得である。
最後に、田中店長に駄菓子の未来について聞いてみた。
「いっぱい駄菓子を食べて欲しいです、駄菓子がなくなってほしくないんですよ。」と彼は語る。
「少子化で子どもがいなくなって、駄菓子屋さんもなくなって、コンビニとかで小さいスペースで駄菓子を置いてるという風になってきている中で、自分達が味わってきた昔ながらの美味しいものとか楽しいものをこれから産まれてくる子ども達にも残してあげたい。そして駄菓子を作っている会社も、この店も上手く回っていけばいいなっていう。めちゃくちゃ好きやった駄菓子がなくなるのって、やっぱり悲しいじゃないですか。そういうこともないように、出来るだけ貢献していけたら。」
駄菓子が人々に提供するモノーー。
それは単なる食べ物としての味の美味しさだけではなく、その楽しさ、そしてそこに広がる人々の笑顔であるといえよう。
「みんながハッピーになるお店だと思ってるんで。」
そう店長が語ったように、この店に訪れる人もまた皆笑顔だ。
そして、来た時よりも少しだけ元気になって帰っていくのである。
「駄菓子なんて長い間食べてないなあ……」
そんなしけた大人になってしまったあなたにこそ捧ぐ!
「今夜、秘密基地A-55集合!大人の放課後始めませんか?」
【放課後駄菓子バー A-55】
*住所: 大阪府大阪市北区太融寺町7-11 フジノビル4F
*営業時間:【月~木・日】19:00~翌1:00 【金・土・祝前日】18:00~翌5:00
*連絡先:06-6948-5831
*定休日:第2・第4火曜日
*ホームページ:http://www.after5go.com/
駄菓子だけじゃなくて色んな懐かしアイテムが揃ってるのね!引き込まれる店内だわ。
右ききのユキ
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