夢の一つが叶った瞬間だった。
2017年から全国の駄菓子屋さんを巡り、その魅力を発信する活動を続けてきた中で沸々と自分の中に生まれた
「いつか自分も駄菓子屋をやりたい」
という想いが1日限定だが形になった。
人生初の、自分たちでやる駄菓子屋。その名も「だがしやあなざーぱす」。
会社の名前をそのままお店の名前にした。捻りなさすぎ。
駄菓子屋メディアを運営する自分たちがなぜ自身で駄菓子屋を開くに至ったのか。そのきっかけと当日の様子を振り返っていきたい。
まだ余韻に浸っている。
「だがしやあなざーぱす」始まりのきっかけ
東京・板橋区で行われるいたばしキッズフェアというイベントで
「なんでもいいから店を出してみないか」
と主催メンバーの一人からお誘いいただいたことがきっかけ。
当メディアの運営母体である株式会社アナザーパスは記事や動画、ホームページを作るWEB制作会社で、自分も含め全メンバーは1日の大半をパソコンの前で過ごす。
コロナ禍になってからほとんどのコミュニケーションはチャットやオンライン通話などで行い、対面で人と接する機会が激減。
そんな事情もあって、普段なかなかできない、直接人と接する商売ができたら社員にとっても刺激になるし、社内コミュニケーションが活性化するかも、と思い立って二つ返事で参加を決めた。
で、出店を決めたところで具体的に何をやるかは割とあっさりというか、
「駄菓子屋のメディアやってるし、やっぱ駄菓子屋さんやろうよ」
という感じで割とすんなり決まった。
自分の中では駄菓子屋一択だった
それと、どうせならただ駄菓子を売るだけでなく、イベントに来てくれる子どもたちに何か学びと挑戦の機会を与えられたら良いよねという話になり、クイズ大会の実施も決定。
駄菓子詰め合わせを景品にしようぜ!
最高。クイズも子どもの年齢別に考えなきゃな。後目を引くポップも作ろう。
駄菓子何売る!何売るよ!うまい棒はマストで、チョコ・・・は夏場の外だから厳しいか。あとはあとは・・・
何事も企画しているときが一番楽しい。
何でも出来る気がしてくるから。
文化祭を控える高校生並のテンションで盛り上がる会社メンバー一同だったが、その後の準備で痛い目を見ることになる。
想像以上に過酷だった駄菓子屋開業の準備
そもそもイベントへの参加が決定したのが当日の2週間前。
(まぁ駄菓子を仕入れてクイズ内容を考えるくらいならなんとかなるやろ)
とたかを括っていたが、準備は想像以上に大変だった。
上のインスタの投稿でも書いたが、まず何がわからないかがわからない。
- 何を仕入れる?
- どこから仕入れる?
- 値付けはどうする?
- お釣り用の小銭はどれくらいあればいい?
- 当日スタッフ3人しないないけど大丈夫?
さらに、ただ駄菓子を売るだけでなく、欲を出してクイズ大会の実施も決めてしまったものだからさらにややこしい。
(これ、当日大丈夫か・・・)
企画段階ではあれもやりたいこれもやりたいと大盛り上がりだったが、実際の準備が始まる段階ではメンバー一同すっかり自信をなくしてしまっていた。
救世主・トミーショップさんの存在
兎にも角にも駄菓子がなければ駄菓子屋はできない。わからないことはその道のプロに聞こう。
駄菓子屋運営のノウハウは一切ないけれども、4-5年間全国の駄菓子屋さんを取材させていただいてきて築いた、それぞれのお店との繋がりはある。
これに頼らない手はないと思い、メディア発足当時からお世話になっている江戸川区のトミーショップさんにご連絡してみることに。
今度一日限定の駄菓子屋をやるのだが、何から準備したらいいかわからず知恵を貸していただきたい旨をお伝えしたところ、「できることがあれば何でも言ってください」と大変ありがたいお返事を頂いた。
「屋外ならチョコは厳しいですね。」
「やっぱりうまい棒は外せないと思いますよ。」
「最近はこれが子どもたちの間で人気なんです。」
「仕入れなら〜〜にある〜〜っていうお店がおすすめです。何でも揃いますよ。」
「そうだ。駄菓子の容器があるから貸しますよ。」
こちらが矢継ぎ早に浴びせる質問に丁寧にお答えくださり、仕入時のポイントなど、ためになる数々のアドバイスをくださった。
トミーショップさんのご協力無しで始めていたらと思うと本当にゾッとする。
トミーショップさんから教えていただいたお店で仕入れも無事済ませ、ポップやクイズ問題の作成も終わり、なんとか当日を迎えられるとことになった。
生憎の天気も「だがしやあなざーぱす」の初陣は小盛り上がり
数日前からの天気予報でわかっていたことではあるが、当日は大雨が降ったり止んだりを繰り返す、念願の駄菓子屋としての初陣を飾るには最悪のコンディションだった。
これ、人来るんけ・・・
メンバー一同この日まで頭を体をフル稼働させて準備してきた。
それに、トミーショップさんのお力にも借りながら、ようやく開業しただがしやあなざーぱすの初日来場者数が0人では話にならない。
なんて嘆いていたが、雨が止むタイミングでは多くの親子がイベントに来場。
この日は仮面ライダーギーツのショーも行われたため、それ目当てに訪れるちびっ子たちが帰りにうちに寄ってくれるという導線ができた。結果的に、だがしやあなざーぱすは天候に恵まれないながらもそこそこ繁盛した。
ギーツ、マジありがとな。
「だがしやあなざーぱす」を終えてみて、すべての駄菓子屋さんに改めて感謝を
子どもたちが保護者からもらったお小遣いを握りしめて、必死に計算しながら買う駄菓子を選ぶ。
そんな光景を一取材者ではなく、お店側の視点で見られたことには、なんとも言えない感慨深さがあった。
そんな子どもたちから渡された駄菓子の金額計算を何度も間違えそうになった。大人として恥ずかしい。
いやしかし、準備は準備で大変だったが、当日もそんな感傷にじっくり浸っているほどの余裕はなかった。
雨で全然お客さんが来ないことを嘆いていたが、もし当日が快晴で、溢れんばかりのお客さんが来たら3人のスタッフだけで店を回せたか怪しい。
正直、これくらいの天気でちょうどよかったかも。
でも、駄菓子を前に目を輝かせる子どもたちの表情は何事にも代えがたいものだった。
子どもたちに笑顔を、大人たちに失いかけていた童心を取り戻させてくれる全国の駄菓子屋さんに、この場を借りて改めて感謝を申し上げたい。
全国で元気に営業されている駄菓子屋さんの魅力に一人でも多くの人が気づけるよう、引き続き尽力していきたいという決意を新たにできた一日だった。
今野 隆吾
最新記事 by 今野 隆吾 (全て見る)
- 駄菓子屋メディア運営会社が1日限定駄菓子屋をやった話 | だがしやあなざーぱす - 2024年8月7日
- 板橋区赤塚新町の駄菓子屋『うお菓子屋』| 夏はみんなでめだかすくい! - 2024年3月2日
- お好み焼きが美味過ぎる西新井の駄菓子屋『ひばり』に行ってきた - 2023年6月18日