なにげなく街を歩いていると、ふと昔懐かしい気持ちになる、レトロで懐かしい看板を見たことがないだろうか?
すでに販売されていない商品だったり、反対に現在も販売され続けているロングセラー商品だったり、さまざまな看板を目にすることがある。
懐かしいレトロ看板の代名詞が「ホーロー看板(琺瑯看板)」と呼ばれるものだ。
ホーロー看板は金属に文字や絵が描かれた看板のことで、明治時代中期に生まれた。
戦後〜昭和40年代に盛んに製造され、街中のいろいろなところに掲げられていたが、昭和50年代にホーロー看板は衰退。
しかし、その後も掲げられたままのところもあって、発見すると少し嬉しい気持ちになったり。
懐かしいホーロー看板に魅了されたホーロー看板コレクターもおり、オークションで売買されることも。
そんなレトロなホーロー看板を、昭和40年代のものをメインに広島県にて撮影してきたので、代表的なものを5つ厳選して紹介したい。
懐かしい看板1. 大塚製薬「オロナミンC」のホーロー看板(撮影地:広島県)
昭和中期に制作されていたホーロー看板の中でも、よく見かけるのが大塚製薬の「オロナミンC」ではないだろうか。
オロナミンCは昭和40年(1965年)に発売された栄養ドリンク。
現在でも販売されており、一度は口にしたことがある方も多いだろう。
オロナミンCの発売時から長年イメージキャラクターを務めていたのがコメディアンの大村 崑(おおむら こん)さん。
現在も俳優として活躍している。
豆知識だが、オロナミンCを持った大村 崑さんが描かれたホーロー看板は、実は何パターンかある。
左下に大塚製薬がスポンサーをしていたアニメのキャラクターが描かれたものがある。
▲私が確認できたのは『巨人の星』の星 飛雄馬。
▲『アタックNo.1』の鮎原 こずえ。
あと過去には『天才バカボン』のバカボンが描かれているのも見たことがあり、ほかにも『黄金バット』などのバージョンがあるようだ。
ちなみにキャッチフレーズも、「元気ハツラツ!」のものと「おいしいですよ!」のものが存在する。
また形が横長の楕円型のものや、写真やイラストのない文字だけのものが存在するなど、そのパターンは多彩だ。
懐かしい看板2. 大塚製薬「オロナイン軟膏」のホーロー看板(撮影地:広島県)
オロナミンCと同じく大塚製薬の「オロナイン軟膏」のホーロー看板も懐かしい昭和中期の看板だ。
昭和28年(1953年)にオロナイン軟膏は発売され、現在も「オロナインH軟膏」として販売されている、おなじみのロングセラー薬品。
実は、大塚製薬の大衆向け薬品の第一号となった商品だ。
看板に描かれているのは、当時イメージキャラクターを務めていた人気女優・浪花 千栄子(なにわ ちえこ)さん。
オロナインを持ってほほえむ浪速さんの「昭和のお母さん」のイメージもあいまって、懐かしい気持ちにさせてくれる。
残念ながら、浪速さんは昭和48年(1973年)に亡くなってしまったが、浪速さんの看板はそのまま張られたままのところも多かった。
オロナインの看板には、ほかにも文字のみのバージョンの看板もある。
なお、浪速さんの本名が南口(なんこう)であるから、軟膏とかけてイメージキャラクターに採用されたそう。
懐かしい看板3. アース製薬「アース渦巻」のホーロー看板(撮影地:広島県)
次に紹介するのは、アース製薬のかとり線香「アース渦巻」のホーロー看板。
アース製薬は、大塚製薬と同じ「大塚グループ」の会社。
現在では「アースノーマット」や「ゴキブリホイホイ」「バスロマン」などのヒット商品でおなじみだ。
アース渦巻は、昭和15年(1940年)に発売されたが、ホーロー看板は昭和40年代に制作された。
ホーロー看板に描かれているのは、人気女優の由美 かおるさん。
由美さんといえば、時代劇『水戸黄門』が代表作。
セクシーな入浴シーンで有名だ。
ホーロー看板でも、セクシーなポーズを決めているのが印象的。
アース渦巻のホーロー看板は、上記写真の楕円型のほかに、正方形のバージョンや文字だけの横長のバージョンなどもある。
懐かしい看板4. アース製薬「ハイアース」のホーロー看板(撮影地:広島県)
同じくアース製薬の殺虫剤「ハイアース」のホーロー看板もよく見かけるレトロ看板。
ハイアースは、昭和4年(1929年)発売の家庭用殺虫剤「アース」の関連商品で、ワンタッチのスプレータイプの殺虫剤として昭和45年(1970年)に発売されて、大ヒット。
よく見かける看板は、そのころ制作されたホーロー看板だ。
看板に描かれている男性は、当時イメージキャラクターを務めていた人気歌手の水原 弘(みずはら ひろし)さん。
水原さんは昭和53年(1978年)に亡くなったが、水原さんが描かれた看板は今なお街で見られる。
ちなみに、ハイアースを持ってほほえむ水原さんは、前歯が見えるバージョンと前歯が見えないバージョンの2種類があるそう。
上記写真は、前歯が見えないバージョンだ。
またアース渦巻と同じように、楕円型のほかに正方形のバージョンや、文字だけの横長のバージョンなどもある。
もし前歯が見えるバージョンを町中で見かけたら教えていただきたい。
懐かしい看板5. 日南工業「キッコーナン」のホーロー看板(撮影地:広島県)
ここまで、大塚グループのホーロー看板を紹介してきた。
大塚グループは積極的にホーロー看板を制作してきたため、現在でもたくさん残っているのだが、大塚グループ以外でもホーロー看板を見かけるものがある。
紹介するのは日南工業の「キッコーナン」。
日南工業は秋田県にかほ市にある昭和23年(1948年)創業の味噌・醤油醸造会社だ。
その銘柄の名前が「キッコーナン」で、亀甲形の中に日南の「南」の字が書かれたマークなのでキッコーナン(亀甲南)。
黄色地に赤文字で書かれ、シンプルながらインパクトのある看板だが、実は何パターンか存在する。
イメージキャラクターの「ナン子ちゃん」が描かれているものや、赤地に青文字で書かれているものなどが代表的だ。
なお、キッコーナン以外にも醤油や味噌などの調味料をつくる会社は、ホーロー看板をよく制作していたようだ。
今も残る懐かしい看板を探してみよう!
本記事で紹介した以外にも、ホーロー看板といえば金鳥の「キンチョール」も有名だ。
しかし、あまりにもよく知られているので、本記事での紹介は割愛させていただいた。
また、オロナミンCとならんでレトロ看板の代名詞的存在と言えるのが、同じ大塚グループの大塚食品「ボンカレー」のホーロー看板だろう。
看板に描かれた女優の松山 容子(まつやま ようこ)さんの顔を見れば、ピンとくる方も多いはず。
しかし、私の住む地域ではボンカレーのホーロー看板を発見できなかった。
よく気をつけながら街を散策してみると、意外なところに昔懐かしい看板を発見することがある。
昔懐かしい駄菓子屋など、一見ホーロー看板に関係ないよう見えて、実は店の外壁などにひっそりと昔の看板が掲げられたままのことがあったりする。
ぜひ、懐かしい看板を探しながら街を歩いてみてはいかがだろう。
アサノ
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